「〇〇家之墓」「先祖代々之墓」と刻まれたお墓は、昔からあるものと思われがちです。ところが、家ごとに一つのお墓を持ち、跡継ぎが守っていく形が広まったのは明治時代からで、歴史は思っているより浅いものです。この記事では、お墓のかたちがどう移り変わってきたのかをたどったうえで、古いお墓ほど墓じまいで手が止まりやすい理由を整理します。
先に結論
・江戸時代のお墓は、寺の墓地に個人や夫婦ごとに建てるものが中心でした
・「〇〇家之墓」が広まったのは、明治の墓地の規則と家制度ができてからです
・戦後に家制度はなくなりましたが、お墓を一人が引き継ぐ仕組み(祭祀承継)は民法に残りました
・古いお墓ほど、だれが入っているかわからない、土葬の遺骨がある、管理者がいないといった理由で、墓じまいの手続きが重くなります
①お墓のかたちは4つの時代で変わってきた
| 時代 | お墓のかたち | 背景 |
|---|---|---|
| 江戸時代 | 寺の墓地に、個人や夫婦ごとの墓石 | 寺請制度で、だれもがどこかの寺の檀家になった |
| 明治時代 | 「〇〇家之墓」「先祖代々之墓」が広まる | 墓地及埋葬取締規則(1884年)で墓地が行政の管理下に入り、明治民法(1898年)で家制度ができた |
| 大正〜昭和前期 | 家墓が当たり前になる | 「墓を継ぐことは家を継ぐこと」という考えが根づいた |
| 戦後〜現在 | 永代供養墓・樹木葬・納骨堂、そして墓じまい | 民法改正(1947年)で家制度がなくなり、核家族化と都市への移住が進んだ |
お盆やお彼岸にお墓参りをする習慣が庶民に広まったのも、寺とのつながりが強まった江戸時代以降とされています。今の私たちが思い浮かべる「家のお墓に家族でお参りする」姿は、明治から昭和にかけてできあがったものです。

②家制度がなくなっても「お墓を継ぐ人」は残った
戦後の民法改正で、戸主が家を継ぐ家制度はなくなりました。一方で、お墓や仏壇は、預貯金や土地などの相続財産とは別に、一人の人が引き継ぐ仕組みが残りました(民法897条)。この人を祭祀承継者といいます。
| よくある思い込み | 法律上の決まり |
|---|---|
| お墓は長男が継ぐもの | 長男とは決まっていません。前の承継者の指定、地域の慣習、家庭裁判所の判断の順で決まります |
| お墓は兄弟で分けて相続する | 相続財産とは別で、引き継ぐのは一人です |
| 継いだ人がずっと守り続けなければならない | 引き継いだ人の判断で、墓じまいをすることもできます |
家族が各地に分かれて暮らすようになった今も、お墓の負担は一人にかかります。墓じまいが増えている背景には、この仕組みと暮らし方のずれがあります。だれが引き継ぐ立場にあるのかは、墓じまいの責任者は誰?で説明しています。
墓じまいは増え続けています
令和4年度に全国で行われた改葬(お墓の引っ越し・墓じまい)は151,076件でした(厚生労働省「衛生行政報告例」)。主な理由は次のとおりです。
・就職や結婚で実家を離れ、お墓が遠方になった
・子どもがいない、または子どもに負担を残したくない
・管理費や法要、お墓までの移動が年々負担になっている
・高度経済成長期に都市部へ移った世代が、地方の実家のお墓と都市部のお墓の両方を抱えている

③古いお墓ほど、墓じまいで手が止まる
明治や大正から続くお墓や、それより前からある村の墓地・屋敷墓は、今の霊園のお墓と比べて、手続きに必要な情報がそろっていないことが多くあります。
| 場面 | 手が止まる理由 |
|---|---|
| 墓石に名前が刻まれていない、読めない | 改葬許可は遺骨ごとに申請するため、だれが何人入っているかを戸籍や過去帳から確かめる必要がある |
| 土葬の遺骨がある | 地域によっては昭和の半ばごろまで土葬が残っていた。移す先の多くは火葬した遺骨しか受け入れないため、掘り出した後に火葬が要る |
| 村の共同墓地や屋敷墓で、管理者がいない | 管理者の証明が取れず、市区町村によっては申立書などを求められる |
| 墓地の名義が何代も前の先祖のまま | だれが引き継いだのかを、戸籍をさかのぼって確かめることになる |
| 江戸時代から続くお寺との付き合いがある | 離檀の話し合いと、改葬に必要な証明のお願いが重なる |
当事務所のご相談でも、古いお墓にだれが入っているかわからず、戸籍をさかのぼって確かめるところから始めることがあります。
工事の日に「思っていたより遺骨が多い」とわかることがある
古いお墓では、骨壺に入れずに納めた遺骨や、記録に残っていない方の遺骨が出てくることがあります。改葬許可の数と合わないと、その場で作業が止まります。工事の前に、だれが入っているかをできるだけ確かめておくことが大切です。
自分の土地や山にある屋敷墓をしまう場合は、自分の土地にお墓は建てられる?、お寺との話し合いは離檀料のトラブルの記事で説明しています。
先祖代々のお墓をしまいたいけれど、だれが入っているのかわからない、名義が古いままになっているという方は、お墓の所在地と、わかる範囲で墓石に刻まれている名前をLINEでお知らせください。必要な手続きと費用をお伝えします。
LINEで古いお墓の墓じまいを依頼する④フジ行政書士事務所にお任せいただけること
| お任せいただけること | 内容 |
|---|---|
| 埋葬されている方の確認 | 戸籍を明治までさかのぼり、お墓に入っている方と親族の範囲を確認します |
| 承継者と名義の確認 | だれがお墓を引き継いでいるかを整理し、名義の引き継ぎに必要な書類を整えます |
| 改葬許可申請 | 管理者がいない墓地で求められる申立書なども含めて、申請の書類を整えます |
| お寺・移す先とのやりとり | 証明のお願いや受入証明の手配を進めます |
| 内容 | 料金(税込) |
|---|---|
| 個別の書類作成 | 20,000円〜 |
| ライトサポート / スタンダードサポート | 35,000円 / 55,000円 |
| フルサポート | 120,000円 |
遺骨の数や、戸籍をどこまでさかのぼるかで内容が変わるため、古いお墓は状況を伺ってお見積りします。交通費・郵送費・証明書の発行手数料などは別途実費です。墓石の撤去や新しい納骨先の費用は別にかかります。
よくある質問
Q. 「〇〇家之墓」はいつごろから建てられるようになりましたか?
広まったのは明治時代からです。1884年の墓地及埋葬取締規則で墓地が行政の管理下に入り、1898年の明治民法で家制度ができたことで、家ごとに一つのお墓を持つ形が定着しました。
Q. お墓参りの習慣はいつから始まりましたか?
お盆やお彼岸にお墓参りをする習慣が庶民に広まったのは、寺請制度で寺とのつながりが強まった江戸時代以降とされています。
Q. 家制度がなくなった今も、お墓は長男が継ぐのですか?
法律上、長男と決まっているわけではありません。お墓を引き継ぐ人(祭祀承継者)は、前の承継者の指定、地域の慣習、家庭裁判所の判断の順で決まります(民法897条)。
Q. 古いお墓で、だれが入っているかわかりません。墓じまいできますか?
できます。ただし改葬許可は遺骨ごとに申請するため、戸籍や過去帳、墓地の管理者の記録から、埋葬されている方を確かめるところから始まります。
先祖代々のお墓をどうすればよいか迷っている方は、お墓の所在地とお墓の名義をLINEでお知らせください。必要な手続きを整理してお伝えします。
とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所ホームページ全国対応(大阪・箕面の事務所より郵送・オンラインで対応)
