墓じまいで遺骨はどうする?古い遺骨・誰か分からない遺骨・自宅保管まで行政書士が解説

墓じまいで最後まで悩みやすいのが、お墓から出てくる遺骨の扱いです。

「お墓を開けたら、思っていたより多くの骨壺が出てきた」
「古すぎて、誰の遺骨なのか分からない」
「新しい納骨先がまだ決まっていない」
「一部だけ別のお墓へ移したい」
「とりあえず自宅へ持ち帰ってもよいのだろうか」

墓石を撤去する工事そのものは石材店の仕事です。しかし、遺骨が出てきた時点から、墓地、埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」といいます)と、市区町村の改葬手続きが関係してきます。ここを知らないまま工事日だけを先に決めてしまうと、途中で止まってしまうことがあります。

この記事では、実際の墓じまいで起こりやすい遺骨の問題を、進める順番に沿って整理しました。一般的な墓じまいの流れだけでなく、「うちの場合は少し違う」というケースまで具体的に説明します。

目次

墓じまいで最初に決めるのは、石材店ではなく「遺骨をどうするか」です

墓じまいの相談で最も多い誤解が、「まず石材店に見積もりを取ればいい」というものです。実際には、遺骨をどこへ移すか(あるいは移さないか)が決まらないと、行政手続きが進まないケースがあります。順番を逆にすると、工事日を押さえたのに改葬許可証が間に合わない、ということが起こります。

墓じまいした遺骨を勝手に処分することはできません

結論として、取り出した遺骨を自分の判断で捨てる、山や海に埋める、ごみとして出すといった扱いはできません。

墓埋法第4条は、埋葬(土葬)や焼骨の埋蔵を、墓地以外の区域で行ってはならないと定めています。つまり、火葬した後の遺骨を土の中に納めてよい場所は、都道府県知事等の許可を受けた「墓地」に限られます。自分の所有地であっても、墓地の許可がなければ遺骨を埋めることはできません。

また、遺骨を投棄する行為は、刑法第190条の遺骨遺棄罪に問われる可能性があります。「処分」という言葉が使われることがありますが、法律上は「別の場所へ移して納める」か「散骨のように埋蔵にあたらない方法をとる」のどちらかであり、捨てるという選択肢はありません。

遺骨を他のお墓へ移すには「改葬許可」が必要です

墓埋法第2条第3項は、改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しています。そして第5条により、改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければなりません。

申請先は、新しい納骨先の市区町村ではなく、現在お墓がある市区町村です。ここを間違える方が非常に多いところです。

改葬許可申請でよく必要になるもの
・改葬許可申請書(現在お墓がある市区町村の様式)
・墓地等の管理者が作成した埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面(埋蔵証明書など)
・墓地使用者以外が申請する場合は、墓地使用者の承諾書
・新しい納骨先の受入証明書(求められる自治体と、求められない自治体があります)
・その他、市町村長が特に必要と認める書類

申請書の記載事項と添付書類は、墓埋法施行規則第2条に定められています。ただし、様式・部数・手数料・郵送申請の可否は自治体ごとに異なります。手数料は無料の自治体もあれば、数百円程度かかる自治体もあります。

「墓石の撤去」と「改葬」は別の手続きです

ここを分けて理解しておくと、以降の話がすべて整理できます。

項目内容
墓石の撤去墓地の使用契約に基づく工事。石材店に依頼し、更地にして墓地管理者へ返還する
改葬遺骨を他の墳墓・納骨堂へ移すこと。市区町村の改葬許可が必要

墓じまいという言葉は、この二つをまとめた通称です。法律の条文に「墓じまい」という用語は出てきません。相談の際に「墓じまいをしたい」とだけ伝えると話がかみ合わないことがあるのは、このためです。

統計から見える傾向

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、2024年度(令和6年度)の全国の改葬件数は17万6,105件でした。10年ほど前と比べて大きく増えており、遠方のお墓、高齢化、管理の負担、承継者がいないこと、供養方法の多様化などが背景にあるとされています。

ただし、改葬件数と墓じまいの件数は同じではありません。お墓を残したまま遺骨だけを移す引っ越しも改葬に含まれますし、逆に、取り出した遺骨を散骨する場合や手元に置く場合は、統計上の改葬として現れないこともあります。数字を見るときは、この違いを踏まえてください。

墓じまいの前に「何人分の遺骨があるか」を確認します

改葬許可申請書は、多くの自治体で遺骨1体につき1枚必要です。3体なら3枚、5体なら5枚です。したがって、何人分の遺骨が納められているかが分からないと、申請の準備ができません。

事前に確認できる手がかり

確認先と分かること
墓誌(霊標)……戒名、俗名、没年月日、行年が刻まれていることが多い
墓石の側面・裏面……古いお墓では墓誌がなく、竿石の側面に刻まれている場合がある
寺院の過去帳・墓地管理者の名簿……住職や霊園事務所が把握していることがある
自宅の仏壇・位牌・法名軸……戒名から人物をたどれることがある
親族の記憶……特に年長のご親族。「誰々の骨壺は別に納めた」といった話が出ることがある
戸籍……死亡年月日や本籍を確認する際の裏付けになる

実務上、最も確実なのは墓誌と寺院の記録の突き合わせです。両方を並べると、墓誌には刻まれていない方が記録に残っていた、という食い違いが見つかることがあります。

それでも、開けてみないと分からないのが実情です

ここは正直にお伝えします。事前調査を尽くしても、実際にカロート(納骨室)を開けるまで正確な数が分からないケースがあります。理由はいくつかあります。

・骨壺から出して土に還す地域・宗派があり、遺骨が土と混ざっていることがある
・関西では骨壺自体が小さく、複数がまとめられていることがある
・墓誌に刻まれていない方が納められていることがある
・古いお墓では、火葬ではなく土葬で埋葬されている場合がある
・カロートの下部に、古い遺骨が沈んでいることがある

そのため、事前調査は「正確な数を確定させる作業」ではなく、「想定を立てて、ずれたときに慌てないための準備」と考えてください。

予想より多くの骨壺が出てきた場合

「3人分だと思って申請したら、5人分あった」というケースです。この場合、許可を受けていない2体について、そのまま移すことはできません。追加分の改葬許可申請が必要になります。

実務では、次の流れになることが多いです。

1 その場で工事を止め、遺骨は動かさずに現状を確認する(骨壺の数、刻まれている文字、状態を写真で記録)
2 墓地管理者に立ち会ってもらい、追加分についても埋蔵の事実を証明してもらえるか相談する
3 現在お墓がある市区町村へ連絡し、追加申請の方法を確認する
4 追加の改葬許可証が交付されてから、改めて取り出す

石材店の作業日を再度押さえ直すことになるため、日程と費用の面で負担が出ます。これを避けたい場合は、見積もり段階で「想定より多かった場合の再訪問の扱い」を石材店に確認しておくと安心です。実際、この一点を事前に決めておくかどうかで、後の負担がかなり変わります。

誰の遺骨か分からない場合はどうするか

先祖代々のお墓では珍しくありません。結論から言うと、身元が特定できない遺骨であっても、改葬できないわけではありません。ただし、扱いは自治体の判断によります。

まず、分かるところまで調べます

戒名しか分からない場合でも、寺院の過去帳と照合すれば俗名や没年が判明することがあります。俗名が分かれば、戸籍をさかのぼって本籍や死亡年月日を確認できる場合があります。ただし、除籍謄本の保存期間の関係で、明治期などの古い記録は取得できないこともあります。

骨壺自体に紙が貼られていたり、蓋の裏に墨書きが残っていたりすることもあります。取り出す当日は、動かす前に必ず写真を撮っておいてください。後から自治体に説明する際の資料になります。

それでも特定できない場合

この段階で自己判断せず、現在お墓がある市区町村の担当窓口(市民課、環境衛生課など自治体により異なります)へ相談してください。次のような対応が案内されることがあります。

・氏名欄に「不詳」と記載して申請する
・「先祖代々」「〇〇家先祖」など、墓誌の記載に沿った形で申請する
・複数体をまとめて1件として扱う
・墓地管理者の証明書に、判明している範囲の事情を記載してもらう

どの取り扱いになるかは自治体によって異なります。民間サイトに書かれている「こう書けば通る」という説明を、そのまま別の自治体に当てはめることはできません。ここは必ず、申請先の窓口に事情を説明したうえで確認してください。

死亡年月日や本籍が分からない場合

改葬許可申請書には、施行規則第2条に基づき、死亡者の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬または火葬の場所と年月日などを記載する欄があります。古い遺骨では、これらをすべて埋められないことがあります。

多くの自治体では、判明しない項目について「不詳」または「不明」と記載する取り扱いが案内されています。実際、記入例のなかで「わかる所まで記入し、不明の場合は不詳と記入してください」と明記している自治体もあります。

注意
空欄のまま提出すると、記載漏れとして差し戻されることがあります。分からない項目は空欄にせず、窓口で確認したうえで「不詳」と記載してください。また、埋葬・火葬の場所や年月日について、火葬場を書くのか納骨した墓地を書くのか、火葬日を書くのか納骨日を書くのかは自治体で運用が分かれます。

遠方のお墓の場合、書き損じによる再訪問は大きな負担になります。記入する前に一度電話で確認しておくほうが、結果的に早く終わります。

墓じまいで遺骨はどうする?古い遺骨・身元不明・自宅保管まで行政書士が解説

墓じまいで遺骨について問題になりやすいポイント

墓じまいした遺骨を自宅へ持ち帰ってもよいのか

結論として、自宅で保管すること自体を禁止する法律はありません。ただし、「自宅に置くこと」と「自宅の敷地に埋めること」は、法律上まったく別の話です。ここを混同すると違法になります。

自宅で保管すること(手元供養)

骨壺のまま仏壇の脇に安置する、小さな骨壺に納め替える、粉骨してミニ骨壺やペンダントにする——これらはいずれも墓埋法が規制する「埋蔵」や「収蔵」にあたりません。納骨先が決まるまでの一時保管も同じです。届出も許可も不要です。

自宅の庭に埋めること

これはできません。前述のとおり、焼骨の埋蔵は墓地以外の区域では行えません(墓埋法第4条)。庭の一角に埋める、木の根元に埋める、敷地内に小さな石を建てて納める、といった行為は、たとえ自分の土地であっても認められません。

後日納骨するときに困らないための準備

ここが実務で最も見落とされる点です。自宅保管中は書類が不要でも、その遺骨を将来どこかの墓地・納骨堂へ納めるときには、由来を証明する書類の提出を求められます。

墓じまいの時点で改葬許可証の交付を受けていれば、それが証明になります。ところが「まだ納骨先が決まっていないから」と手続きをしないまま遺骨だけ持ち帰ってしまうと、数年後に納骨しようとした段階で、証明してくれるはずの寺院や墓地が既に存在しないという事態が起こり得ます。実際、この状態からのご相談は少なくありません。

自宅へ持ち帰る前に確保しておきたいもの
・改葬許可証(原本。納骨先へ提出するため、コピーも取っておく)
・墓地管理者からの埋蔵証明書の控え
・取り出し前後の写真、骨壺の刻字や貼り紙の記録
・寺院・霊園の名称、所在地、連絡先の記録

新しい納骨先がまだ決まっていない場合

「先に墓石だけ撤去して、納骨先はゆっくり探したい」というご希望はよくあります。ただし、これは自治体によって扱いが分かれる部分です。

改葬先未定の扱いは自治体で異なります

改葬許可申請書には改葬先を記載する欄があり、受入証明書の添付を求める自治体が多くあります。一方で、受入証明書までは求めず、改葬先の欄に「自宅保管」「未定」と記載して受け付ける自治体もあります。全国一律のルールではないため、ここは必ず現在お墓がある市区町村に確認してください。

なお、遺骨をすべて取り出して散骨する、あるいは自宅で保管するという場合、他の墳墓や納骨堂へ「移す」わけではないため、条文上は改葬にあたらないという整理もあり得ます。もっとも、実際の窓口では改葬許可の手続きを案内されることが多く、墓地管理者も改葬許可証の提示を求めるのが通常です。

進める順番

1 親族に方針を伝え、大まかな合意をとる
2 墓地管理者(寺院・霊園・自治会など)に墓じまいの意向を伝える
3 納骨先の方針を決める(決まっていなければ「未定でも申請できるか」を市区町村に確認)
4 改葬許可申請の要件を市区町村に確認する
5 石材店に見積もりを依頼し、日程を調整する
6 改葬許可証の交付を受けてから、閉眼供養・取り出し・撤去工事

石材店の手配は5番目です。ここを1番目にしてしまうと、書類が整うまで工事日を動かし続けることになります。

一部の遺骨だけ移したい場合(改葬と分骨の違い)

改葬と分骨は別の手続きです

項目改葬分骨
内容遺骨を他の墳墓・納骨堂へ移す一人の遺骨を分けて、複数の場所に納める
根拠墓埋法第2条第3項・第5条墓埋法施行規則第5条
必要な書類市区町村の改葬許可証墓地等の管理者が交付する、埋蔵・収蔵の事実を証する書類(分骨証明書)
市区町村の許可必要不要(管理者の証明で足りるのが原則)

ここで注意していただきたいのは、「複数体のうち一部だけを移す」のは分骨ではなく改葬だという点です。祖父母の遺骨は残して父の遺骨だけを移す場合、移す1体について改葬許可が必要です。分骨は、あくまで同じ一人の遺骨を分けることを指します。この二つは混同されやすいところです。

兄弟で遺骨を分けたい場合

墓埋法施行規則第5条は、墓地等の管理者は、他の墓地等に分骨を納めようとする者から請求があったときは、埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければならないと定めています。つまり、現在お墓を管理している寺院・霊園に請求すれば、分骨証明書は発行してもらえるのが原則です。必要な部数(分ける先の数だけ)を伝えてください。

その場で手元に置くだけなら分骨証明書は不要ですが、将来その遺骨を納骨する可能性があるなら、必ずこの時点で取得しておいてください。墓じまいで元の墓地がなくなってしまうと、後から証明を求める先がなくなります。年月が経ってからの手続きが難しくなるのは、この一点が原因であることが非常に多いです。

墓じまいの流れと遺骨の取り扱いについて行政書士に相談するご夫婦

納骨先の選び方によって、後から変更できるかどうかが変わります

樹木葬・永代供養・散骨へ移す場合の注意点

樹木葬へ移す場合

結論として、樹木葬だから特別な行政手続きになる、ということはありません。

樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を目印とする埋葬方法の呼び名であって、法律上の区分ではありません。多くの樹木葬は、都道府県知事等の許可を受けた墓地の一区画として整備されています。したがって、現在のお墓から樹木葬へ遺骨を移す場合は、通常どおり改葬にあたり、改葬許可が必要です。

確認しておきたいのは、手続きよりもむしろ契約内容のほうです。

樹木葬の契約前に確認したいこと
・墓地としての許可を受けた区域か(パンフレットではなく、経営許可の有無で確認)
・個別に区画があるのか、最初から共同で埋葬されるのか
・骨壺のまま納めるのか、土に還す形か(土に還す場合、後から取り出せません)
・個別安置に期間の定めがあるか。ある場合、期間経過後はどうなるか
・年間管理料の有無と、支払いが途絶えたときの取り扱い

永代供養へ移す場合

永代供養も法律用語ではなく、寺院や霊園が承継者に代わって供養・管理を続けるという契約上の呼び名です。こちらも改葬許可が必要な点は同じです。

形態は大きく二つに分かれます。個別安置は、一定期間は骨壺のまま個別に納める形。合祀(合葬)は、他の方の遺骨と一緒に納める形です。「13回忌まで個別、その後は合祀」といったように、期間経過後に合祀へ移行する契約が多くあります。

合祀した遺骨は、後から取り出せるのか

ここは、この記事のなかで最も重要な部分です。

合祀された遺骨は、後から取り出すことが困難、または事実上できないと考えてください。

合祀は、多くの場合、骨壺から遺骨を出して他の方の遺骨と一緒に納める方法です。物理的に区別がつかなくなるため、「やはり手元に戻したい」「新しくお墓を建てたので移したい」と申し出ても、応じられないのが通常です。これは寺院や霊園が不親切なのではなく、構造上できないということです。

実務でよくあるのが、次のような経過です。費用を抑えたい、急いで決めたいという事情から合祀を選び、後になって別の親族から「なぜ相談しなかったのか」と言われる。しかし、そのときにはもう取り出せない——。

契約前に必ず確認したい5点
・個別安置の期間はあるか。何年か
・合祀へ移行する時期と、その際に連絡はもらえるか
・合祀後に遺骨を取り出すことができるか。できない場合はその旨を書面で確認する
・骨壺のまま納めるのか、遺骨を出して納めるのか
・分骨して一部を手元に残す選択肢があるか

費用と管理の負担を考えれば合祀は合理的な選択です。否定するものではありません。ただ、後戻りできない選択である以上、親族への説明を先に済ませておくことを強くおすすめします。一部だけ分骨して手元に残しておくという折衷案が、話をまとめる助けになることもあります。

散骨する場合

散骨は、遺骨を粉状にして海や山などに撒く方法です。墓埋法には散骨に関する規定がなく、同法が想定する埋蔵・収蔵にあたらないと整理されています。厚生労働省の研究事業に基づく「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」でも、散骨は「墓埋法が想定する埋蔵又は収蔵以外の方法で、陸地又は水面に散布し、又は投下する行為」と定義されています。

ただし、法律に規定がないことは「何をしてもよい」という意味ではありません。同ガイドラインは、事業者に対し、海水浴場や漁場の付近、住宅地に近い場所などを避けること、焼骨を粉状にすること、関係者の宗教的感情に配慮することなどを求めています。また、条例で散骨を制限している自治体もあります。

手続きの面で押さえておきたいのは、次の点です。

・散骨そのものには、市区町村の許可という制度がない
・しかし、現在のお墓から遺骨を取り出す段階では、墓地管理者が改葬許可証の提示を求めるのが通常
・自治体によっては、改葬先の欄に散骨の予定である旨を記載して申請するよう案内される
・散骨を委託する場合、業者が粉骨証明書等を発行することがある
・全量を散骨するか、一部を手元や納骨先に残すかを先に決めておく

「散骨だから役所は関係ない」と考えて墓地管理者と行き違いになる例があります。取り出しの段階で改葬許可を求められるかどうかを、墓地管理者と市区町村の両方に確認してください。

必要な書類がそろわない場合の対応

火葬許可証・火葬証明書が見つからない場合

数十年前の火葬許可証が手元にないことは、ごく普通にあります。ただし、墓じまいで既に埋蔵されている遺骨を移す場面では、通常必要になるのは改葬許可申請と埋蔵証明であり、当時の火葬許可証そのものが必須とは限りません。

火葬の事実を証明する必要が生じた場合は、火葬を行った火葬場や、火葬許可を出した市区町村で証明書の発行を受けられることがあります。保存期間や取り扱いは自治体によって異なります。

詳しくは、火葬証明書の再発行について解説した記事で、申請先や必要なものを整理しています。

墓地管理者から埋蔵証明を受けられない場合

「証明書がもらえない=墓じまいできない」と、決めつける必要はありません。

証明が受けられない事情には、いくつかの型があります。

・寺院との関係が悪化しており、証明に応じてもらえない
・住職が不在、または寺院が実質的に機能していない
・集落の共同墓地・個人墓地で、そもそも管理者がはっきりしない
・管理者だった方が亡くなり、引き継がれていない

施行規則第2条第2項第1号は、埋蔵の事実を証する書面について、「これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面」でよいとしています。つまり、通常の証明書が用意できない場合に備えた規定が、あらかじめ置かれているということです。

実際の運用でも、共同墓地や個人墓地について、保健所への確認、墓地の登記事項証明書、申請者と埋葬されている方との関係が分かる戸籍、地域の自治会長による証明などで対応している自治体があります。まずは、事情を整理したうえで市区町村の窓口に相談してください。

なお、離檀料をめぐって話がこじれている場合は、書類の問題と費用の問題を切り離して考えることが大切です。離檀料は法律上の支払い義務があるものではありません。

親族に黙って遺骨を移してもよいのか

この質問は、行政手続きの話と、親族間の話が混ざりがちです。分けて考えます。

行政手続きの面

改葬許可申請で求められるのは、原則として墓地使用者(名義人)の承諾です。施行規則第2条第2項第2号は、墓地使用者等以外の者が申請する場合に、墓地使用者等の承諾書またはこれに対抗できる裁判の謄本を添付するよう定めています。

つまり、親族全員の同意書が法律上の必須要件とされているわけではありません。名義人自身が申請するのであれば、書類の上では手続きが進むことがあります。

親族間の面

しかし、書類がそろうことと、後で問題にならないことは別です。お墓や遺骨は、民法第897条の祭祀財産として、祭祀を主宰すべき者が承継するものとされています。誰が祭祀承継者かをめぐって争いがある場合、それは行政手続きで解決できる問題ではありません。

そして、合祀や散骨のように元に戻せない方法をとった後で反対が出ると、話し合いでは収拾がつかなくなります。実際にご相談が持ち込まれるのは、たいていこの段階です。

おすすめしているのは、次の順序です。

1 墓じまいを検討している事実だけを、早い段階で共有する(方針が固まる前に伝える)
2 移す先の候補と、合祀の有無を具体的に説明する
3 お参りしたい方がいる場合は、分骨や個別安置の選択肢を示す
4 費用の負担について先に整理しておく

「反対されそうだから黙って進める」という判断が、結果的に最も費用と時間のかかる道になることが多いという点は、お伝えしておきたいところです。

よくあるご質問

骨壺の中に水が溜まっていました。どうすればよいですか

古いお墓では珍しくありません。そのまま新しい納骨先へ持ち込むと受け入れを断られることがあるため、乾燥や洗骨を扱う業者に相談する方法があります。納骨先に、状態について事前に伝えておくと確実です。

土葬のお墓ですが、遺骨が残っていないかもしれません

掘り返してみないと分かりません。遺骨が確認されなかった場合の手続きは自治体で扱いが分かれるため、改葬許可の申請は行っておき、実際の状況を市区町村に報告する形をとるのが安全です。土葬の遺骨を他の墓地に移す際は、火葬を求められることがあります。

改葬許可証には有効期限がありますか

法令上の一律の期限は定められていませんが、交付から一定期間内の使用を案内する自治体があります。工事日程が動く可能性がある場合は、申請時に確認してください。

遺骨を郵送してもよいのですか

日本郵便のゆうパックで送ることは可能とされています。ただし、受け入れ先が郵送を認めているかは別問題です。納骨先に必ず先に確認してください。

粉骨は必要ですか

納骨先の条件によります。樹木葬や合祀墓、散骨では粉骨を求められることがあります。粉骨自体に許可は不要ですが、一度粉骨すると元には戻せません。納骨先を決めてから判断してください。

お墓が遠方にあり、何度も行けません

改葬許可申請を郵送で受け付けている自治体があります。返信用封筒と切手が必要になるのが一般的です。取り出し当日の立ち会いについても、墓地管理者と石材店に相談すれば調整できることがあります。

迷ったら、まずこの5つを確認してください

1 お墓に何人分の遺骨が納められていそうか
2 それぞれ誰の遺骨か(分かる範囲で)
3 現在の墓地使用者(名義人)は誰か。存命か
4 遺骨をどこへ移す予定か。合祀を含む方法か
5 現在お墓がある市区町村の改葬手続き(様式・部数・受入証明の要否)

全部分からなくても構いません。分かるところから埋めていけば、何が足りないのかが見えてきます。逆に、この5つが埋まっていれば、墓じまいはほぼ滞りなく進みます。

個別の事情は、一律には判断できません

墓じまいの一般的な流れは、調べればいくらでも出てきます。しかし実際のお墓は、一軒ごとに事情が違います。

誰の遺骨か分からない。記録がどこにも残っていない。名義人が既に亡くなっている。改葬先が決まらない。寺院と話が進まない。親族の意見が割れている——。こうしたケースでは、その自治体の運用と、そのお墓の状況を突き合わせないと、正しい答えが出せません。この記事でも「自治体によって異なります」と繰り返しているのは、そのためです。

フジ行政書士事務所では、墓じまい・改葬について、「この場合はどうしたらいいのか」という段階からご相談を承っています。全国対応(大阪・箕面の事務所より、郵送・オンラインで対応しています)。

LINEでご相談いただく場合は、次の3点を分かる範囲でお知らせください。

 現在のお墓がある市区町村
 どのようなことでお困りか
 新しい納骨先が決まっているか

3つとも分からなくても構いません。「骨壺の数が分からない」「何から手を付ければいいのか分からない」という状態からで大丈夫です。状況を伺ったうえで、どこから確認すればよいかを整理してお返しします。

初回のご相談は1時間まで無料です。書類作成や申請の代行をご依頼いただく場合の費用は、ご利用料金のページに記載しています。

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※この記事は、墓地、埋葬等に関する法律および同法施行規則、厚生労働省の公表資料、各市区町村の公開情報をもとに作成しています。申請書の様式・添付書類・運用は自治体によって異なるため、実際の手続きの際は、現在お墓がある市区町村の窓口でご確認ください。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市のフジ行政書士事務所代表。改葬許可申請など、墓じまいに伴う行政手続きや書類作成を支援しています。ご家族や寺院への配慮を大切にし、遠方のお墓にも対応しています。大阪府行政書士会所属(登録番号 第24261915号)。

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