外国人の墓じまい完全ガイド|遺骨の海外搬送・永代供養・改葬手続きを行政書士が解説

日本で暮らす外国人は2025年末時点で412万5,395人となり、初めて400万人を超えました(出入国在留管理庁)。「働くために数年滞在する国」から「家庭を築き、老後を迎え、生涯を終える国」へ——その変化とともに、これまで表面化してこなかった課題が生まれています。それが外国人のお墓と墓じまい(改葬)です。

日本で亡くなったご家族の遺骨を母国へ戻したい。海外に住んでいて日本の墓地に行けない。永代供養に切り替えたい。こうしたご相談は、国境・宗教・言語・書類がすべて絡み合うため、日本人の墓じまいより手続きが複雑になります。この記事では、行政書士の実務の視点から必要な手続き・書類・費用・期間を整理します。

この記事の結論(30秒でわかる要点)
  • 国籍を問わず墓じまいはできる:改葬手続きの根拠は「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」。外国籍でも日本人と同じ手続きで改葬許可を受けられます。
  • 海外在住でも進められる:来日できなくても、署名証明や領事認証を付した委任状があれば、郵送・オンラインで手続きが可能です。
  • 遺骨の海外搬送は「相手国の受入れ条件」が最大の壁:日本側の書類が整っても、渡航先が受け入れなければ持ち出せません。事前確認が必須です。
費用の目安(総額)
50万〜150万円
対応エリア
全国対応
(郵送・オンライン)
期間の目安
国内2〜3か月
海外搬送3〜6か月
目次

外国人の墓じまいは、日本人の墓じまいと何が違うのか

墓じまい(改葬)とは、現在のお墓から遺骨を取り出し、別の場所へ移して供養し直す手続きのことです。法的な骨格は国籍によって変わりません。墓地埋葬法第5条により、改葬には墓地のある市区町村長の「改葬許可」が必要で、これは外国籍の方でも同じです。

違いが出るのは、その周辺です。外国人のケースでは、日本人の墓じまいにはない工程が上乗せされます。

項目日本人の墓じまい外国人の墓じまい
改葬許可申請市区町村へ申請同じ(国籍要件なし)
親族の同意・連絡国内でやり取り海外在住の親族と時差・言語を越えて調整
委任状署名・押印在外公館の署名証明、アポスティーユ・領事認証が必要な場合あり
改葬先新しい墓・永代供養墓など国内の供養先に加え「母国への搬送」という選択肢
宗教上の配慮仏式が中心土葬希望(イスラム教等)、宗派を問わない霊園選び
書類日本語外国語書類の確認・翻訳・公的認証

なぜ今、外国人の墓じまいが増えているのか

データが示す2つの流れ

第一に、在留外国人の増加と定住化です。2025年末の在留外国人数は412万5,395人で、日本の総人口に占める割合は3.36%に達しました。在留資格別では永住者が約94万7,000人と最多で、日本を生活の拠点とする層が厚くなっています。人生を送る場所が日本であれば、人生の終わりを迎える場所も日本になります。

第二に、改葬件数そのものの増加です。厚生労働省「衛生行政報告例」によると、令和5年度(2023年度)の全国の改葬件数は166,886件で過去最多を更新しました。承継者不足を背景とした墓じまいの流れは、外国人世帯にも確実に及びます。

外国人の墓じまいが増える4つの理由

  • 家族が母国へ帰国する仕事や留学で来日していた家族が帰国すると、日本のお墓を管理する人がいなくなります。年間管理料の滞納が続き、墓地管理者から連絡が来て初めて気づくケースもあります。
  • 子ども世代が海外で生活している日本でお墓を建てても、子どもが海外で暮らしていれば定期的な墓参りは困難です。「次の世代に負担を残したくない」という動機は日本人と共通です。
  • 永代供養を希望する人が増えた宗教・国籍を問わず利用できる永代供養墓や納骨堂が全国的に増え、管理を任せられる選択肢が現実的になりました。
  • 母国で供養したいという思い「最終的には故郷へ帰したい」という家族の願いから、遺骨を母国へ戻す改葬を選ぶケースがあります。
外国人の墓じまいが増える理由と改葬手続きの流れ、供養の選択肢をまとめた図解
日本で眠るか、母国へ還すか。国境を越える墓じまいの進め方

遺骨を母国へ搬送する方法と必要書類

搬送には2つのルートがある

火葬後の遺骨を海外へ運ぶ方法は、大きく2つです。

  • ご遺族が来日して手荷物として持ち帰る(最も多い方法)航空会社ごとに規定は異なりますが、火葬証明書や埋葬に関する書類を提示することで機内持ち込みが認められる例が一般的です。搭乗前に必ず航空会社へ確認してください。
  • 国際貨物として輸送するご遺族が来日できない場合の方法です。取扱業者が限られ、費用も高くなります。相手国の輸入規制の確認が不可欠です。

準備が必要になる主な書類

書類取得先ポイント
改葬許可証墓地のある市区町村必須
火葬証明書・火葬許可証の写し火葬を行った自治体・火葬場必須
死亡診断書・死亡届記載事項証明書病院/市区町村多くの国で必要
英訳・現地語訳翻訳者・翻訳会社国により指定あり
アポスティーユ/領事認証外務省・在日大使館国により必要
輸入許可・受入許可相手国当局国により必要

最も多い失敗が「送れると思っていたのに受け入れられなかった」というケースです。遺骨の輸入を厳しく制限している国、宗教上の理由から火葬済み遺骨の埋葬を認めない国もあります。墓地から遺骨を取り出す前に、必ず相手国の大使館・領事館へ確認してください。順序を誤ると、行き先のない遺骨を長期間保管することになりかねません。

日本で永代供養を選ぶという選択肢

近年は、母国へ戻さず日本国内で供養を続ける選択も増えています。日本で生まれ育った子どもがそのまま日本で暮らす場合、「故人にも日本で眠ってほしい」と考えるご家族は少なくありません。海外から何度も墓参りに来ることが難しい場合、管理を霊園側に任せられる永代供養墓は現実的な解決策になります。

宗教・国籍を問わない供養先が増えている

横浜・神戸・長崎などには明治期からの外国人墓地がありますが、現在日本に暮らす外国人の多くは地域社会の一員として生活しており、日本人と同じ霊園・寺院墓地・公営墓地を選ぶケースが増えています。宗旨宗派不問の永代供養墓や合同墓、英語・中国語・ベトナム語での案内に対応する霊園も登場しています。

土葬を希望する場合の現実

日本の火葬率は99%を超え、世界でも例のない火葬中心の国です。一方、イスラム教では土葬を希望する方が多くいます。しかし国内で土葬を受け入れている墓地は極めて限られ、全国で十数か所程度とされます。地域住民との合意形成や衛生面の課題があるためです。実務上は「限られた土葬墓地を探す」「火葬後に母国へ搬送する」「日本国内で宗派不問の供養先を選ぶ」の中から、ご家族の信仰と現実の制度の折り合いを探ることになります。

費用と期間の目安

墓じまい(改葬)の費用相場

項目費用の目安備考
墓石の撤去・整地1㎡あたり10万〜20万円立地・重機の入りやすさで変動
閉眼供養のお布施3万〜10万円寺院墓地の場合
離檀料3万〜20万円法的な支払義務はありません(任意の御礼)
改葬許可申請手数料無料〜1,000円程度自治体による
合祀(合同墓)3万〜10万円新しい供養先の費用
永代供養墓10万〜50万円
樹木葬20万〜80万円
納骨堂20万〜100万円

総額の目安は50万〜150万円です。外国人のケースでは、これに翻訳費・公的認証手数料・国際輸送費・ご遺族の渡航費が加わります。

期間の目安

  • 国内で改葬を完結する場合:約2〜3か月受入証明書の取得、墓地管理者との調整、改葬許可申請、閉眼供養、遺骨取り出し、納骨まで。
  • 遺骨を海外へ搬送する場合:約3〜6か月相手国の要件確認、書類の翻訳・認証、海外在住親族との委任状のやり取りに時間がかかります。
国籍や世代を越えて地域で暮らす人々が公園で語り合う多文化共生のイメージ
国籍を越えて暮らす地域社会。供養の形も少しずつ変わり始めています
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行政書士ができるサポートの範囲

外国人の墓じまいでは、改葬許可申請だけでは前に進まない場面が数多くあります。当事務所では、次の業務を書類作成・提出代行としてお手伝いしています。

  • 改葬許可申請書類の作成・提出代行市区町村ごとに異なる様式・添付書類を整理します。
  • 受入証明書・埋葬証明書などの収集新しい供養先および現在の墓地管理者との書類のやり取りを進めます。
  • 墓地管理者・寺院との連絡調整離檀に関する話し合いの整理を含みます。
  • 海外在住のご家族との委任関係の整理署名証明・領事認証を要する委任状の準備をご案内します。
  • 外国語書類の確認と必要書類の洗い出し相手国の要件に合わせて不足書類を特定します。

業務範囲について正直にお伝えします。相続人の範囲や祭祀承継者の決定について争いがある場合、その法的判断は弁護士・司法書士の職域です。当事務所は行政手続の書類作成と関係機関との調整を担当し、必要に応じて他士業をご紹介します。また、離檀料に法的な支払義務はありませんが、寺院との関係を踏まえた対応が望ましい場面もあります。

よくいただくご相談

Q. 外国籍でも日本で墓じまい(改葬)はできますか?

A. できます。改葬手続きは墓地埋葬法に基づくもので、国籍要件はありません。墓地のある市区町村長から改葬許可を受けることで、日本人と同じ手続きで遺骨を移すことができます。

Q. 海外に住んでいて日本へ行けませんが、手続きできますか?

A. 可能です。在外公館で取得した署名証明や、公証・領事認証を付した委任状をご用意いただければ、郵送とオンラインのやり取りで進められます。当事務所は全国対応(大阪・箕面の事務所より郵送・オンラインで対応)のため、日本国内のどの墓地でもご相談いただけます。

Q. 遺骨を母国へ送りたいのですが、何から始めればよいですか?

A. 最初に行うのは、渡航先の大使館・領事館への受入条件の確認です。国によって必要書類(火葬証明書、死亡診断書、翻訳、アポスティーユ、輸入許可等)が大きく異なります。遺骨を取り出した後で受入不可が判明する事態を避けるため、確認を最優先してください。

Q. 費用はどれくらいかかりますか?

A. 国内で完結する墓じまいの総額は50万〜150万円が目安です。海外搬送を伴う場合は、翻訳費・認証手数料・輸送費・渡航費が別途必要になります。無料でできる手続きではありませんので、ある程度のご予算をご準備のうえご相談ください。お見積りは事前にご提示します。

Q. イスラム教徒で土葬を希望する場合はどうなりますか?

A. 日本国内で土葬を受け入れている墓地は全国で十数か所程度と非常に限られています。実務上は、限られた土葬可能墓地の利用、火葬後の母国搬送、宗旨宗派不問の供養先の利用といった選択肢を比較検討することになります。

Q. 日本語が分からない家族の代わりに依頼できますか?

A. できます。当事務所は在留資格業務も扱う行政書士事務所で、中国語でのご相談にも対応しています。ご本人に代わって書類を作成し、行政機関への提出を代行します。

Q. どれくらいの期間がかかりますか?

A. 国内で改葬先が決まっている場合は約2〜3か月、遺骨の海外搬送を伴う場合は約3〜6か月が目安です。海外在住のご家族との書類のやり取りが期間を左右します。

まとめ|外国人の墓じまいは、これから確実に増えていく

日本で暮らす外国人が400万人を超えた今、日本で人生を終える外国人も増えていきます。残されたご家族は、国境をまたぐ手続き、異なる宗教、言語の壁を抱えながら、お墓をどうするかという現実に向き合うことになります。

一方で、宗旨宗派を問わない永代供養墓や共同墓、多言語対応の霊園といった新しい選択肢も広がっています。故人を大切に思う気持ちは、国籍や宗教が違っても変わりません。大切なのは、ご家族全員が納得できる供養の形を、日本の制度の中で実現することです。

外国人の墓じまい・遺骨の海外搬送のご相談

全国対応(大阪・箕面の事務所より郵送・オンラインで対応)/中国語でのご相談可
在留資格業務も扱う行政書士が、改葬許可申請から必要書類の収集までお手伝いします。
初回のご相談は無料です。まずは現在の状況をお聞かせください。

とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所ホームページ
この記事を書いた行政書士

フジ行政書士事務所(大阪府箕面市)/登録支援機関

在留資格(技術・人文知識・国際業務、特定技能、経営・管理、配偶者・永住・帰化)などの国際業務と、墓じまい・改葬、相続手続きを取り扱う行政書士事務所です。外国籍のご家族からのご相談を数多くお受けしてきた経験をもとに、日本の制度と海外の事情をつなぐ橋渡し役として対応しています。中国語対応可。TEL 072-734-7362

出典・参考

出入国在留管理庁「2025年末現在における在留外国人数について」/厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例」第4章 生活衛生(改葬件数)/墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)

※費用相場および期間は一般的な目安です。墓地の立地、寺院との関係、渡航先の制度により変動します。最終更新:2026年7月27日

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この記事を書いた人

大阪府箕面市のフジ行政書士事務所代表。改葬許可申請など、墓じまいに伴う行政手続きや書類作成を支援しています。ご家族や寺院への配慮を大切にし、遠方のお墓にも対応しています。大阪府行政書士会所属(登録番号 第24261915号)。

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