親が亡くなった後、お墓の整理や墓じまいを考え始めたものの、「親がどこの銀行を使っていたのか分からない」「生命保険に入っていたはずだが保険会社が分からない」「実家以外にも土地を持っていた気がする」ということは珍しくありません。
相続では、分かっている財産だけを整理すればよいわけではありません。預貯金、不動産、生命保険、株式などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も含めて調べる必要があります。
この記事の結論
・相続財産調査は、戸籍を集めて相続人を確定させることから始めます
・預貯金・不動産・生命保険・証券・借金まで、「分からない財産」も含めて確認します
・2026年2月から、亡くなった方名義の不動産を全国から検索できる「所有不動産記録証明制度」が始まっています
・生命保険は生命保険協会、証券はほふり、借金は信用情報機関に照会する制度があります
・相続放棄を検討する場合は原則3か月の期限があるため、財産調査を後回しにしないでください
・相続財産調査だけを行政書士へ依頼することもできます
墓じまいをきっかけに親の財産が分からないことに気づく
墓じまいと相続財産調査は、法律上は別の手続きです。しかし実際には、親が亡くなったことをきっかけに、実家の整理、お墓の今後、預貯金の整理、生命保険の確認、不動産の名義確認を同時に始めることが多くあります。
特に、墓地の名義が亡くなった父や祖父のままになっている場合は、戸籍を集めて関係者を確認するところから始めます。その戸籍は、相続人の確認や金融機関での相続手続きにもそのまま使えます。
つまり、墓じまいのために家族関係を整理したことが、そのまま相続財産調査の入口になります。
墓じまいを自分で進められるケースは、箕面市で墓じまいを自分で進める方法で解説しています。
相続財産調査では何を調べる?
相続財産調査の対象は、預貯金・不動産・生命保険・証券・その他の財産と、借金などの負債です。
| 種類 | 主な確認対象 |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行、ネット銀行 |
| 不動産 | 土地、建物、共有持分、山林、農地 |
| 生命保険 | 死亡保険、終身保険、年金保険 |
| 証券 | 株式、投資信託、証券口座 |
| その他 | 自動車、貸付金、貴金属、事業用財産 |
| 負債 | 住宅ローン、カードローン、クレジット、個人間の借金 |
大切なのは、「あると分かっている財産」だけを調べないことです。家族が知らなかった銀行口座や土地、借入れが後から見つかることがあります。
相続財産調査は何から始める?
① 戸籍を集めて相続人を確認する
最初にすることは、戸籍を集めて法定相続人を確定させることです。金融機関などへ亡くなった方の財産について問い合わせても、誰でも情報を取得できるわけではないからです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続関係を確認します。相続人が確定したら、法務局の法定相続情報証明制度を利用すると、銀行・生命保険・年金など複数の相続手続きで戸籍一式を何度も提出する負担を減らせます。
戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成、法務局への申出は行政書士が代理できます。
② 自宅に残された資料を確認する
最初からすべての金融機関へ問い合わせるのではなく、まず亡くなった方の身の回りを確認します。
確認したい資料
・通帳、キャッシュカード、クレジットカード
・証券会社からの郵便物
・生命保険証券
・固定資産税の納税通知書
・不動産の権利証・登記識別情報
・ローンや借入れに関する書類
・確定申告書
・スマートフォンやメールに残っている金融機関からの通知
通帳を発行しないインターネット銀行やネット証券もあるため、紙の資料だけでは分からないことがあります。
自宅の引き出しに残された通帳や郵便物が、財産調査の手がかりになります
預貯金はどうやって調べる?
利用していた銀行が分かれば、相続人としてその金融機関に照会し、死亡日時点の残高証明書や取引履歴を取得します。
必要書類は金融機関によって異なりますが、一般的には、死亡の事実と相続人であることが確認できる戸籍、本人確認書類、金融機関所定の申請書を求められます。
通帳が見つからない場合でも、キャッシュカード、郵便物、給与や年金の振込記録、公共料金の引落しなどから利用銀行が判明することがあります。
財産がどこにあるか分からない段階からご相談いただけます
「銀行名は分かるが相続手続きをする時間がない」「そもそも何があるか分からない」という段階から、財産調査の部分だけ(相続財産調査サポート 55,000円〜・実費別)ご依頼いただけます。
とりあえずLINEで相談する亡くなった親の不動産が分からない場合|所有不動産記録証明制度
2026年2月2日から始まった「所有不動産記録証明制度」を利用すると、亡くなった方が登記簿上の所有者として記録されている不動産を、全国を対象に一覧で確認できます。
以前は、固定資産税の納税通知書や名寄帳、心当たりのある地域の登記情報から調べる方法が中心でした。名寄帳は市町村ごとの情報のため、場所の心当たりがない不動産は探しにくいものでした。
「父が昔、田舎に土地を持っていたと聞いたことがあるが場所が分からない」というケースで、相続人が法務局へ請求して確認できます。
注意点
検索条件として指定した氏名・住所と、登記簿上の氏名・住所が一致しない不動産は抽出されない場合があります。過去に何度も住所を移している場合は、旧住所も含めて確認する必要があります。
書面請求の場合、検索条件1件につき1通1,600円の手数料がかかります。
不動産が判明した後の相続登記は、司法書士と連携して進めます。相続人調査、戸籍収集、法定相続情報、相続財産の整理など、登記の前段階は行政書士にご相談いただけます。
生命保険会社が分からない場合|生命保険契約照会制度
保険会社が分からない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用できます。亡くなった方が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会の会員会社に対して一括で照会する制度です。
保険証券や保険会社からの郵便物が残っていれば、その会社へ直接問い合わせます。
照会で分かるのは契約の有無と保険会社名です。保険金額や契約内容の確認、保険金請求は、該当する生命保険会社へ改めて問い合わせる必要があります。申請方法や受付状況は、生命保険協会の案内で確認してください。
株や証券口座があるか分からない場合|ほふりの開示請求
証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」で、亡くなった方の口座がある証券会社や信託銀行を確認できます。
証券会社からの取引報告書や配当金の通知があれば、まずその証券会社へ確認します。
| ほふりの開示で分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 口座が開設されている証券会社・信託銀行の名称 | どの株を何株持っているか、現在の残高、過去の取引 |
口座の開設先が判明した後、その証券会社へ相続人として問い合わせて残高等を調査します。
分かっている財産と分からない財産を整理すると、次に何を調べるかが見えてきます
借金も相続財産調査の対象
相続財産調査で忘れてはいけないのが負債です。預金や不動産だけ確認して「財産があるから相続しよう」と判断した後、多額の借金が判明することがあります。
確認する資料
・金融機関からの請求書
・カード会社からの利用明細
・ローン契約書
・督促状
・通帳の返済記録
必要に応じて、CICやJICCなどの信用情報機関へ、法定相続人として亡くなった方の信用情報の開示を求める方法もあります。
ただし、信用情報機関で分かるのは登録されている借入れだけです。親族や知人からの個人的な借入れは別途確認する必要があります。
相続放棄を考えているなら財産調査を急ぐ
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります(民法915条)。
この3か月は、相続財産がどれだけあるかを確認し、「相続する」「相続放棄する」「限定承認を検討する」を判断する期間です。借金がある可能性がある場合は、特に調査を後回しにしないでください。
財産調査をしても判断材料がそろわない場合には、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる制度があります。
相続放棄を検討している場合は、亡くなった方の財産を自己判断で処分・使用しないでください。相続財産の処分は、相続を承認したものとみなされることがあります。
相続財産調査は自分でもできる?
はい。相続財産調査は必ず専門家へ依頼しなければならないものではありません。
| 自分で進めやすいケース | 時間がかかりやすいケース |
|---|---|
| 銀行が1〜2行だけ | どこの銀行を利用していたか分からない |
| 不動産は自宅だけ | 地方に土地を持っていたらしい |
| 保険会社が分かっている | 生命保険会社・証券会社が分からない |
| 相続人が配偶者と子だけ | 相続人が多い、代襲相続がある、古い戸籍を多数集める必要がある |
| 借金の心配がない | 借金がある可能性があり、相続放棄の3か月が近づいている |
相続財産調査だけ行政書士に頼める?
はい。すべての相続手続きを一括で依頼する必要はありません。フジ行政書士事務所では、必要な部分だけのご相談に対応しています。
| 困っていること | ご相談いただける内容 |
|---|---|
| 相続人が分からない | 戸籍収集・相続人調査 |
| 戸籍を何度も提出するのが大変 | 法定相続情報一覧図の作成・申出 |
| 親の財産が分からない | 預貯金・保険・不動産・証券の調査支援 |
| 借金があるか心配 | 信用情報を含めた調査方法の整理・必要書類の準備 |
| 一部だけ頼みたい | 必要な調査だけ個別に対応 |
金融機関や各照会制度によって、代理人ができる手続きや必要な委任状、回答の受取方法は異なります。まず「何が分かっていて、何が分からないのか」を整理したうえで調査方法を決めます。
相続財産調査サポートは55,000円〜(実費別)です。料金の詳細はご利用料金をご覧ください。相続全体の調べ方は亡くなった親の財産がわからない|預貯金・不動産・生命保険を調べる方法でも解説しています。
墓じまいと相続財産調査を一緒に考えた方がよいケース
・親が亡くなった後、そのままになっているお墓を墓じまいしたい
・墓地の名義が父や祖父のままになっている
・誰が相続人なのか正確に分からない
・親の財産をまだ調べていない
・墓じまい費用をどこから出すか検討している
・相続放棄をする可能性がある
・亡くなった親の預金や不動産がどこにあるか分からない
お墓は通常の相続財産とは異なる扱いを受けますが、親が亡くなった後に必要になる手続きという意味では、墓じまいと相続は密接につながっています。墓じまいだけ、相続人調査だけ、財産調査だけという部分的なご相談でも対応できます。大阪・箕面の事務所から郵送・オンラインで全国対応しています。
相続財産調査のFAQ
Q1.亡くなった親の銀行口座を一括で調べる制度はありますか?
いいえ。すべての銀行口座を全国一括で確認できる制度はありません。
通帳、キャッシュカード、郵便物などから金融機関を特定し、各金融機関へ確認していく方法が基本です。
Q2.親が全国のどこに不動産を持っていたのか分からなくても調べられますか?
はい。
2026年2月から始まった所有不動産記録証明制度で、亡くなった方名義の不動産を全国から検索できます。ただし、登記簿上の氏名・住所と一致しない不動産は抽出されない場合があります。
Q3.生命保険会社が分からなくても調べられますか?
はい。生命保険協会の生命保険契約照会制度を利用できます。
契約が見つかった後の契約内容や保険金請求は、各生命保険会社へ確認します。
Q4.株を持っていたかどうか分かりません。
証券保管振替機構(ほふり)の開示請求で、口座の開設先を確認できます。
口座の残高や具体的な銘柄は、判明した証券会社へ別途確認します。
Q5.借金も調べた方がよいですか?
はい。
相続ではプラスの財産だけでなく負債も引き継ぎます。相続放棄を検討する場合は、3か月の期限内に確認する必要があります。
Q6.財産調査に3か月以上かかりそうな場合はどうすればよいですか?
家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。
期限が過ぎてからでは申し立てられないため、間に合わないと分かった時点で早めに対応してください。
Q7.財産調査だけ行政書士にお願いできますか?
はい。
戸籍収集だけ、相続人調査だけ、預貯金や生命保険などの財産調査だけといった部分的なご依頼にも対応できます。
まとめ|分からない財産をそのままにしない
「大きな財産はないと思う」という理由だけで、財産調査をしないまま相続手続きを進めるのはおすすめできません。相続財産には、預貯金、不動産、生命保険、証券などのプラス財産だけでなく、借金などのマイナス財産もあります。
2026年には所有不動産記録証明制度が始まり、亡くなった方の不動産を以前より探しやすくなりました。生命保険や証券にも、契約先や口座開設先を確認する制度があります。
重要なのは、最初からすべてを自分で調べようとせず、「分かっている財産」と「分からない財産」を整理することです。
財産がどこにあるか分からない段階からご相談いただけます
戸籍収集・相続人調査・法定相続情報・預貯金や保険、不動産などの財産調査について、必要な部分だけのご依頼に対応しています。初回相談1時間無料。全国対応(大阪・箕面の事務所より郵送・オンラインで対応)。
とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所 墓じまいサイト※本記事は2026年9月時点の制度・公表情報をもとに作成しています。金融機関や各制度によって必要書類、手数料、代理人の取扱い等が異なります。実際の手続きでは最新の取扱いをご確認ください。
