お寺とトラブルになりやすい墓じまいの場面
墓じまいの相談で多いのが、「お寺と話がこじれてしまった」「離檀料を高額に請求された」「墓じまいを認めてくれない」といったトラブルです。お寺との付き合いが希薄だったり、代替わりで住職が変わったりすると、考え方の違いから話し合いが難しくなることがあります。
よくあるケースとしては、次のようなものがあります。
・離檀料をいくら支払うべきかで揉める
・墓じまいを申し出たら、強く引き止められた
・改葬許可に必要な書類にサインしてもらえない
・電話や直接の会話で感情的な言い合いになってしまった
どのケースでも共通しているのは、「言った・言わない」や感情的な対立が先に立ってしまい、具体的な手続きの話に進まないことです。まずは、墓じまいに必要な手順と、お寺の立場・気持ちの両方を整理しながら、一つずつ進めていくことが大切です。
離檀料や高額な費用請求への向き合い方
トラブルで最も多いのが、「離檀料をいくら払えばよいのか」「提示された額が妥当なのか分からない」という相談です。離檀料には、法律で一律の金額が決まっているわけではなく、地域や寺院ごとの慣習、お寺側の考え方によって幅があります。
まず意識しておきたいのは、「払うべきは気持ちとしての謝礼であって、言い値ですべてを受け入れなければならないわけではない」という点です。ただし、ゼロにしたいのか、今後の関係や地域との付き合いも踏まえて「ある程度は気持ちを示したい」のかによって、選ぶべき対応は変わります。
話をするときのポイントは次の通りです。
・金額の根拠を丁寧に尋ねる（過去の法要・管理・今後の維持費など）
・こちらの事情（家計状況や遠方であること、継承者がいないことなど）を冷静に伝える
・「このくらいならお支払いできます」という具体的な額を提示する
・感情的な言い合いになりそうなら、第三者（行政書士など）を間に入れる
大切なのは、「払いたくないから争う」という姿勢ではなく、「お互いに無理のない落としどころを探したい」というスタンスです。文面でやり取りを残しておくと、後から誤解を防ぐことにもつながります。
墓じまいを認めてくれない場合の一歩ずつの対応
中には、「檀家をやめるなら他の親族の墓もすべて動かしてほしい」「うちの寺に建てた以上、墓じまいはしてほしくない」など、住職側が強く反対するケースもあります。感情的には理解できる部分もありますが、現実として、継ぐ人がいなかったり、遠方で通えなかったりする家庭も少なくありません。
こうした場合は、次の順番で整理してみましょう。
① 家族・親族の間で方針を固める（誰が墓じまいの窓口になるかを決める）
② お寺にはまず書面か落ち着いた場で意向を伝える（電話だけで済ませない）
③ 「なぜ墓じまいを考えているのか」を具体的に説明する（感情ではなく事情）
④ それでも拒否が続く場合は、行政書士など専門家を通じて、手続き面から整理する
改葬許可申請に必要な「埋葬証明書」や「墓地管理者の署名押印」が得られない場合は、自治体や専門家に相談しながら、どうすればよいかを一緒に検討していくことになります。真正面から個人同士でぶつかるよりも、第三者をはさむ方がスムーズに進みやすいのが実務の実感です。
感情的な対立を避けて墓じまいを進めるコツ
お寺とのトラブルで一番やっかいなのは、金額や手続きそのものよりも、「言われ方」「態度」「過去のしこり」といった感情の部分です。ここがこじれると、話し合いが一気に難しくなってしまいます。
感情的な対立を避けるために、次のような点を意識するとよいでしょう。
・「これまで供養していただいたことへのお礼」を最初に必ず伝える
・お寺側を責める言い方ではなく、「こちらの事情として……」と主語を自分に置く
・一度で決着させようとせず、何回かに分けて話すつもりで臨む
・難しいところは行政書士など専門家に同席してもらい、話を整理してもらう
フジ行政書士事務所では、墓じまいに関する改葬許可申請はもちろん、お寺とのやり取りの整理や文面作成のサポートも行っています。直接言いにくいことを第三者が代わりに言語化するだけで、驚くほどスムーズに話が進むことも少なくありません。
墓じまいは、お寺と縁を切るためだけの手続きではなく、これまでのご縁に区切りをつけ、次の形で先祖を大切にしていくための節目でもあります。トラブルになりかけたときこそ、「どう終えるとお互いに気持ちよくいられるか」を一緒に考えていくことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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