亡くなった親の財産がわからない|預貯金・不動産・生命保険を調べる方法

親が亡くなった後、手続を進めようとして「そもそも何を持っていたのかわからない」という状態で止まってしまう方は少なくありません。通帳が見つからない、どこの銀行を使っていたのか知らない、不動産があるのかどうかもわからない、生命保険に入っていたのかも聞いていない。そうした状態からでも、相続財産は調べる方法があります。

この記事の結論

亡くなった方の預貯金・不動産・生命保険・借金は、相続人であれば、それぞれの制度を使って調べることができます。ただし、すべての財産を一度に検索できる単一の窓口はありません。財産の種類ごとに、照会先と手続が分かれています。
また、相続放棄をするかどうかの判断期限は原則として相続の開始を知った時から3か月です。調査には時間がかかるため、早めに着手することが重要です。

目次

亡くなった親の財産は、相続人が調べられますか?

調べられます。相続人は、被相続人(亡くなった方)の預貯金・不動産・生命保険・借入の情報について、金融機関や公的機関に照会する権利があります。必要書類は、被相続人の死亡が確認できる戸籍(除籍謄本)と、請求する方が相続人であることを示す戸籍、そして請求者の本人確認書類が基本です。

ただし、「亡くなった人の全財産を一括で検索できる制度」は存在しません。財産の種類ごとに、次のように調べ先が分かれています。

財産の種類主な調べ方一括で調べられるか
預貯金金融機関ごとに残高証明書・取引履歴を請求(同一銀行内は全支店を照会できる場合が多い)銀行をまたいだ横断検索はできない。ゆうちょ銀行のみ全国の貯金を一括照会できる
不動産法務局の所有不動産記録証明制度(2026年2月2日開始)、市区町村の名寄帳、登記事項証明書登記されている不動産は、原則として全国分を一覧にできる
生命保険生命保険協会の生命保険契約照会制度協会加盟の生命保険会社の分は一括照会できる。共済等は対象外
借入・カード信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)への開示請求3機関それぞれに請求が必要。個人間の借金は記録されない
株式・投資信託証券保管振替機構への登録済加入者情報の開示請求、証券会社への照会上場株式等の口座がある証券会社を特定できる

まず自宅で探すべき手がかりは何ですか?

最初にすべきことは、公的な照会ではなく自宅に残された「紙」と「郵便物」の確認です。照会制度は金融機関名や不動産の所在がある程度わかっていると格段に進めやすくなるため、手がかり集めが調査全体の効率を左右します。

自宅で確認したいもの

・通帳、キャッシュカード、金融機関のノベルティ(タオル・カレンダー等)
・銀行や証券会社からの郵便物、取引残高報告書
・生命保険証券、保険会社からの契約内容のお知らせ、保険料の口座振替記録
・固定資産税の納税通知書(不動産の所在地を特定する手がかりになります)
・不動産の権利証(登記済証・登記識別情報通知)、賃貸借契約書
・クレジットカード、消費者金融のカード、督促状や請求書
・確定申告の控え、年金関係の書類
・スマートフォンやパソコン内のネット銀行・ネット証券のアプリやメール

特に見落としやすいのが、通帳が発行されないインターネット銀行やネット証券です。紙の資料が一切残らないため、メールや口座振替の記録から探す必要があります。また、公共料金や携帯電話の引落口座は、生活口座を特定する有力な手がかりになります。

遺影と相続財産の調査メモを前に、預貯金や不動産の確認を進める女性

財産がどこにあるかわからない段階でも、手がかりを一つずつ確認していけば調査は進められます。

亡くなった人の預貯金は、どうやって調べますか?

取引していた金融機関を特定したうえで、その金融機関に相続人として「残高証明書」と「取引履歴(入出金明細)」を請求します。多くの金融機関では、支店名がわからなくてもその銀行内の全支店を対象に口座の有無を調べてもらえます(全店照会)。一方で、複数の銀行を横断して口座を検索できる公的な制度はありません。

ゆうちょ銀行は全国分を一括で調べられます

ゆうちょ銀行では「貯金等照会書」により、全国のゆうちょ銀行・郵便局にある被相続人名義の貯金の有無をまとめて調べることができます。窓口はどの郵便局でも受け付けています。地方に住んでいた親の口座を探す場合、まずゆうちょ銀行を確認するのが効率的です。

請求に必要な書類

1. 被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本
2. 請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本
3. 請求者の印鑑登録証明書と実印、または金融機関所定の本人確認書類
4. 金融機関所定の依頼書

法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を取得しておくと、多くの金融機関で戸籍一式の代わりに使えます。金融機関を回る件数が多いほど、負担が軽くなります。

注意:金融機関に死亡を伝えると口座は凍結されます
凍結後は、原則として遺産分割が終わるまで引き出せません。ただし、葬儀費用や当面の生活費のために、民法909条の2に基づく預貯金の払戻し制度を利用できる場合があります。上限は「相続開始時の預金額 × 3分の1 × 請求する相続人の法定相続分」で、1つの金融機関につき150万円までです。

亡くなった人の不動産は、どうやって調べますか?

2026年2月2日から、所有不動産記録証明制度(不動産登記法119条の2)が始まりました。法務局に請求すると、被相続人が登記名義人として記録されている不動産を全国分まとめて一覧にした証明書を交付してもらえます。これまでは市区町村ごとに名寄帳を請求するしかありませんでしたが、調査の負担が大きく軽減されました。

所有不動産記録証明書の請求方法と手数料

項目内容
請求できる人所有権の登記名義人本人、その相続人その他の一般承継人(代理人による請求も可能)
請求先全国どこの法務局・地方法務局(支局・出張所を含む)でも可。郵送請求・オンライン請求も可能
手数料検索条件1件・1通あたり、書面請求1,600円/オンライン請求(郵送交付)1,500円/オンライン請求(窓口交付)1,470円
交付までの期間法務局により異なる。制度開始当初は2週間程度かかる場合があるとされています

この制度の重要な注意点
証明書は、請求書に記載した氏名・住所の検索条件と、登記簿上の氏名・住所が一致する不動産だけを抽出します。引っ越し後に住所変更登記をしていない不動産や、旧姓のままの不動産は抽出されません。転居歴がある場合は、旧住所も検索条件に加える必要があります(検索条件を増やすと、その件数分の手数料がかかります)。
また、未登記の建物は登記記録がないため、この証明書には出てきません

名寄帳との併用が確実です

名寄帳(固定資産課税台帳)は、市区町村ごとにその市区町村内の所有不動産を一覧にしたものです。所有不動産記録証明書と違い、評価額が記載されていることと、未登記建物が載っている場合があることが利点です。一方で、市区町村ごとに請求しなければならず、非課税の土地(私道など)が載らないことがあります。

実務では、所有不動産記録証明書で全国の登記済み不動産の全体像をつかみ、心当たりのある市区町村については名寄帳で評価額と未登記建物を補う、という併用が確実です。所在が判明した不動産については、法務局で登記事項証明書を取得し、名義・共有持分・抵当権の有無を確認します。

亡くなった人の生命保険は、どうやって調べますか?

生命保険協会の生命保険契約照会制度を使うと、協会加盟の生命保険会社に対して、被相続人が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を一括で照会できます。保険証券が見つからない場合の基本的な手段です。

項目内容
照会できる人法定相続人、法定代理人、三親等内の親族など
利用料調査対象となる方1名につき、WEB申請6,000円/書面申請7,000円(2026年4月1日改定)
わかること契約の有無と、契約している生命保険会社名
わからないこと保険金額や保障内容。判明後、各保険会社に直接照会・請求する必要があります
対象外共済(JA共済・県民共済など)、少額短期保険、団体保険、すでに支払済・解約済・失効した契約など

照会事由が「照会対象者が死亡した場合」であるときは、死亡日まで最低3年間さかのぼって調査されます。共済は対象外である点は見落とされがちです。共済に加入していた可能性がある場合は、通帳の引落履歴を確認したうえで、各共済団体に個別に問い合わせてください。

亡くなった人に借金があるかは、どうやって調べますか?

信用情報機関に相続人として開示請求をすることで、貸金業者・クレジットカード会社・銀行からの借入状況を確認できます。次の3機関があり、加盟している業者が異なるため、3機関すべてに請求するのが原則です。いずれも郵送で手続でき、手数料は1機関あたり1,000円台が目安です(金額は変更されることがあるため、各機関の公式サイトでご確認ください)。

1. CIC(株式会社シー・アイ・シー)… クレジットカード会社・信販会社が中心
2. JICC(株式会社日本信用情報機構)… 消費者金融が中心
3. 全国銀行個人信用情報センター(全国銀行協会)… 銀行・信用金庫等の借入

信用情報だけでは負債の全部はわかりません
個人間の借金、連帯保証、滞納している家賃・税金・医療費などは信用情報機関に記録されません。郵便物の中に督促状や請求書がないか、通帳に不自然な入出金がないかを併せて確認する必要があります。

預貯金・不動産・生命保険・借金について行政書士に相続財産調査を相談する家族

預貯金・不動産・生命保険・負債は、それぞれ照会先も必要書類も異なります。

財産調査には、いつまでに終わらせるべき期限がありますか?

あります。相続には複数の期限があり、なかでも影響が大きいのが相続放棄の3か月です。

期限手続内容
3か月相続放棄・限定承認自己のために相続の開始があったことを知った時から。負債が多い場合の判断期限
4か月準確定申告被相続人に確定申告が必要だった場合
10か月相続税の申告・納付基礎控除を超える場合。申告の要否や税額の判断は税理士の業務です
3年相続登記の申請2024年4月1日から義務化。過去に発生した相続も対象です

3か月以内に財産の全体像がつかめない場合、家庭裁判所に対して熟慮期間の伸長を申し立てる方法があります。ただし、申立ては3か月の期間内に行う必要があります。財産の全容が不明で判断がつかないときは、期限が来る前に動くことが大切です。

相続財産調査を行政書士に依頼できますか?

依頼できます。ただし、行政書士が対応できる範囲は法律で定められており、相続に関するすべての手続を行政書士が扱えるわけではありません。当事務所では、対応できる範囲とできない範囲を最初にご説明したうえでお受けしています。

行政書士が対応できること

・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍の収集(相続人の確定)
・相続関係説明図の作成、法定相続情報一覧図の作成と法務局への申出
・金融機関に提出する残高証明書等の請求書類の作成
・生命保険契約照会制度の申請書類の作成補助
・調査結果をまとめた財産目録の作成
・相続人間で争いがない場合の遺産分割協議書の作成
・自動車の名義変更手続

行政書士が対応できないこと

不動産の相続登記の申請(司法書士の業務です)
所有不動産記録証明書の交付請求の代理(登記に関する手続のため、ご本人に請求いただくか、提携する司法書士におつなぎします)
相続税の申告と税額の計算(税理士の業務です)
家庭裁判所に提出する書類の作成(相続放棄の申述書、熟慮期間伸長の申立書など。司法書士または弁護士の業務です)
相続人の間に争いがある場合の交渉や代理(弁護士の業務です)

調査を進めた結果、これらの手続が必要になった場合は、司法書士・税理士・弁護士におつなぎします。「どの専門家に頼めばよいのかもわからない」という段階から、整理のお手伝いができます。

よくあるご質問

通帳もカードも見つかりません。それでも調べられますか?

調べられます。ゆうちょ銀行は全国の貯金を一括で照会できます。それ以外の銀行については、自宅の郵便物、公共料金の引落先、勤務先の給与振込口座、自宅や実家の近隣にある金融機関などから当たりをつけて、順に照会していきます。手がかりがまったくない状態からのご相談も受け付けています。

何年も前に亡くなった人の財産も調べられますか?

調べられます。不動産の登記記録は年数が経っても残っており、所有不動産記録証明制度でも過去の名義を調べられます。ただし、預貯金の取引履歴は金融機関の保存期間(多くは10年程度)を過ぎると取得できないことがあります。また、相続人が世代をまたいで増えている場合は、戸籍の収集に相当の時間がかかります。

相続人が自分ひとりかどうかもわかりません。

被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得することで確定できます。前婚の子や認知した子がいる場合、この調査で判明します。相続人の確定は、財産調査より先に済ませておくべき手続です。

調査の結果、財産より借金のほうが多かった場合はどうなりますか?

相続放棄を検討することになります。相続放棄の申述は家庭裁判所への手続で、申述書の作成は司法書士または弁護士の業務です。当事務所では調査結果を財産目録として整理したうえで、期限に間に合うよう専門家におつなぎします。

費用はどのくらいかかりますか?

当事務所の相続財産調査サポートは55,000円(税込)からです。相続人が多い場合、被相続人の本籍地の移動が多く戸籍の収集に手間がかかる場合、不動産が複数の市区町村にある場合、何年も前の相続で相続人が世代をまたいでいる場合などは、作業量に応じて加算のお見積りとなります。このほかに、戸籍の取得手数料、証明書の交付手数料、生命保険契約照会制度の利用料などの実費がかかります。無料でお受けできる範囲の調査ではありませんので、あらかじめご了承ください。お見積りは無料です。

大阪府外に住んでいますが依頼できますか?

できます。相続財産調査は郵送とオンラインで進められるため、全国どちらの方でもお受けしています。当事務所は大阪府箕面市にあり、箕面市・豊中市・池田市など北摂地域の方は対面でのご相談も可能です。

財産がどこにあるかわからない段階から、ご相談いただけます

「何を持っていたのかまったくわからない」「どこから手をつければいいのかわからない」という状態が、ご相談としてはむしろ一般的です。手がかりが何もない状態からでも、調査の進め方をご案内できます。

フジ行政書士事務所(大阪府箕面市)は、戸籍の収集から財産目録の作成までをお手伝いし、登記・税務・裁判所の手続が必要な場合は、提携する司法書士・税理士・弁護士におつなぎします。

とりあえずLINEで相談する フジ行政書士事務所ホームページ

※この記事は2026年8月13日時点の法令・公表情報に基づいています。手数料や制度の内容は改定されることがあるため、実際の手続の際は法務省・法務局・生命保険協会・各信用情報機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市のフジ行政書士事務所代表。改葬許可申請など、墓じまいに伴う行政手続きや書類作成を支援しています。ご家族や寺院への配慮を大切にし、遠方のお墓にも対応しています。大阪府行政書士会所属(登録番号 第24261915号)。

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