墓じまいにかかる費用のすべて内訳・相場・節約のヒント
「墓じまいをしたいけれど、いったいいくらかかるのだろう」。そう考えて手が止まってしまう方は少なくありません。費用の目安がわからないまま業者に相談すると、予想以上の金額を提示されて驚くこともあります。しかし、墓じまいの費用は一律ではなく、内容や地域、墓地の状況によって大きく変わります。
この記事では、墓じまいに必要な費用の内訳と相場を整理し、実際にかかるお金の全体像と、無理のない進め方、そして費用を抑える工夫について詳しく解説します。
墓じまい費用が気になる理由
墓じまいとは、お墓を撤去して遺骨を他の場所へ移す手続きのことです。日本では年間十数万件の墓じまいが行われており、その背景には少子化や都市化、家族形態の変化があります。しかし、いざ実行しようとすると「費用が不透明」という壁にぶつかる人がほとんどです。
なぜなら、墓じまいには「業者への支払い」「行政手続」「新しい供養先の費用」「お寺へのお礼」など、複数の費用が関係してくるからです。それぞれの金額がバラバラに発生するため、合計額がつかみにくいのです。
相場としては、一般的な墓じまいの総額は30万円〜100万円前後が多いとされています。この幅の広さこそが、墓じまいの費用を複雑に感じさせる原因といえるでしょう。
墓じまいにかかる主な費用項目
墓じまいの費用は、大きく分けると以下の4つのカテゴリーに整理できます。
1. 墓石撤去・整地などの「工事費」
2. 改葬許可申請・書類取得などの「行政手続費」
3. 遺骨を移すための「新しい供養先の費用」
4. お寺や霊園への「離壇料・管理費精算」
この4つの合計が、墓じまいにかかる「総費用」となります。それぞれを順に見ていきましょう。
墓石撤去費用の相場と注意点
墓じまいで最も金額が大きくなるのが「墓石撤去費用」です。墓石の大きさや重さ、墓地までの搬出経路などによって作業の難易度が変わるため、価格差が大きくなります。
一般的な相場は、1㎡あたり10万円〜20万円程度。2㎡の区画なら20万〜40万円前後が目安です。ただし、山間部や搬出経路が狭い墓地では重機が入れず、手作業になることもあり、その場合は費用が1.5倍以上になることもあります。
墓石の撤去に含まれる主な作業は以下の通りです。
・墓石の解体・運搬
・基礎コンクリートの撤去
・土の整地・更地化
・供物台や外柵の処分
また、撤去業者に依頼する際は「廃棄物処理費」が含まれているか必ず確認しましょう。墓石や外柵は産業廃棄物に分類され、適切な処理が必要です。安すぎる見積もりには、処分費用が含まれていないケースもあるため注意が必要です。
改葬関連費用(行政手続・証明書など)
墓じまいをする際は、必ず「改葬許可証」が必要になります。これは、遺骨を別の場所へ移すことを行政が認めたことを示す書類で、各自治体で発行されます。
改葬許可証の取得には、次のような費用が発生します。
・改葬許可申請書の提出(役所で無料)
・現在の墓地管理者からの「埋葬証明書」発行手数料(1,000〜2,000円ほど)
・新しい納骨先からの「受入証明書」発行手数料(無料〜数千円)
これらを含めた事務手続き全体で、数千円〜1万円程度が一般的です。ただし、書類の不備や手戻りがあると、役所への再申請で時間がかかる場合もあります。慣れない方は、行政書士などの専門家に依頼して書類作成をサポートしてもらうのも一案です。
永代供養先にかかる費用
墓じまいのあとは、遺骨を新しい供養先に移します。その代表的な選択肢が「永代供養」「納骨堂」「樹木葬」「自宅供養」です。この部分の費用も、墓じまいの総額を左右する大きな要因になります。
永代供養の相場は、一霊あたり10万円〜50万円程度です。納骨堂の場合は「個別型」か「合同型」かで異なり、個別安置型は20〜70万円、合同供養型は5〜20万円程度が目安です。樹木葬では10〜30万円前後が多く、立地や施設の規模によって変動します。
また、「新しい供養先を契約する費用」と別に、「遺骨の運搬費(数千円〜1万円程度)」も考慮が必要です。業者が運搬する場合は、距離や本数に応じて追加料金が発生することもあります。
離壇料・管理費などの精算費用
お寺の墓地にお墓がある場合、墓じまいをするには「離壇手続き」が必要です。このときに発生するのが「離壇料」です。離壇料は法律上の義務ではありませんが、これまでのお付き合いに対する感謝の気持ちとしてお渡しするのが一般的です。
相場は3万円〜20万円前後。お寺との関係性や地域によって異なります。また、墓地管理費を前納している場合は、未使用分の精算も行います。
離壇料を渡す際は、現金を封筒に入れ「離壇御礼」などと表書きをし、領収書または受領書をもらうようにしましょう。後々の誤解を避けるためにも、やり取りを丁寧に記録しておくことが大切です。
費用を抑えるための現実的な工夫
墓じまいの費用は決して安くありませんが、進め方次第で大きく節約することができます。ここでは、現場でよく使われる「無理のないコストダウンの工夫」を紹介します。
・複数の業者に見積もりを取る
・時期を選ぶ
・永代供養を一括で契約する
・役所手続きは自分で行う
・お寺との関係を丁寧に
複数業者に見積もりを取るだけでも、10万円以上の差が出ることがあります。お彼岸やお盆前を避けるなど、時期を選ぶことで費用を抑えられる場合もあります。行政手続きを自分で行えば、数千円の節約にもつながります。
トラブルを避けて安心して進めるために
墓じまいは、ただお墓を撤去するだけの作業ではありません。そこには、長年守ってきた家族の思いや、地域とのつながりが込められています。だからこそ、金銭面のトラブルや誤解を避けながら進めることが大切です。
・お寺や管理者には必ず事前に相談する
・契約や支払い内容は書面で残す
・業者には「見積書」と「請負契約書」を確認する
・不明点はそのままにせず、専門家に相談する
こうした基本を押さえることで、後悔のない墓じまいが実現できます。
費用を知ることは安心の第一歩
墓じまいの費用は一律ではありませんが、項目ごとの相場を知っておくだけで、無駄な支出を防ぎ、安心して進めることができます。
・墓石撤去費用:10〜40万円前後
・改葬関連費用:数千円〜1万円
・永代供養費用:10〜50万円
・離壇料:3〜20万円
総額30〜100万円という目安を知っておくだけでも、見積もりの妥当性を判断できます。大切なのは、焦らず、納得して進めること。お墓の整理は、家族の未来を考える前向きな手続きです。費用のことが心配で立ち止まっている方も、まずは一歩踏み出して情報を整理してみてください。知ることが、安心の第一歩になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「こんなこと聞いてもいいのかな?」
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フジ行政書士事務所では、墓じまい・改葬・永代供養など、お墓に関するあらゆるご相談を受け付けています。
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一人ひとりの状況に合わせて、無理のない方法をご提案しながら、丁寧にサポートいたします。
