外国籍の配偶者が直面する「お墓」と「ビザ」の壁。死別後の承継問題と解決策

日本人配偶者と死別された後、残された外国籍のパートナーが直面するのは、深い悲しみだけではありません。日本の複雑な行政手続きや、慣習的な「家」の問題が現実として押し寄せてきます。

特に、故人が残した「お墓」をどう守るかという問題は、「在留資格(ビザ)」の変更手続きと密接に関わっており、非常にデリケートな判断が求められます。

「外国籍の私が、日本のお墓を継ぐことはできるのか」
「もし将来、母国へ帰ることになったら、お墓はどうなるのか」

この記事では、日本人配偶者亡き後の「お墓の承継」と、そこに伴う「在留資格」のリスク、そして将来の不安を解消するための選択肢について解説します。


目次

外国人が「お墓の継承者」になるための法律と現実

まず、法的な側面から見ていきましょう。外国籍の方が日本のお墓を継ぐ(祭祀承継者となる)ことは可能なのでしょうか。

法律上は国籍による制限はない

日本の民法(897条)において、お墓や仏壇などの「祭祀財産」を受け継ぐ人を「祭祀承継者」と呼びます。この継承者の資格について、法律では国籍や居住地の制限を設けていません。

つまり、日本人であっても外国人であっても、故人を供養する意思があり、慣習や親族間の合意があれば、法的にお墓を継ぐことは認められています。

立ちはだかる「寺院規則」と「慣習」の壁

法律で認められている一方で、実務上はスムーズにいかないケースが多々あります。その最大の理由は、お墓を管理する寺院や霊園が定めている「管理規約」です。

多くのお寺や霊園では、管理料の未納や連絡不通などのトラブルを防ぐため、承継者の条件として「日本国内に定まった住所を有すること」を求めている場合があります。将来的に帰国の可能性がある外国籍の方の場合、この要件を満たし続けることが難しいと判断され、名義変更を断られるケースも少なくありません。

また、日本特有の「檀家制度」もハードルとなります。お墓を継ぐことは、そのお寺の檀家となり、行事への参加や寄付、お布施といった経済的・時間的負担を負うことを意味します。言葉や文化の壁がある中で、これらを継続していくことは容易ではありません。

死別後の「在留資格」変更リスクと帰国問題

お墓の問題をより複雑にしているのが、残された配偶者の「在留資格(ビザ)」の不確実性です。

日本人配偶者と死別した場合、それまで保有していた「日本人の配偶者等」の在留資格は、次回の更新時などに変更を余儀なくされます。日本に住み続けるためには、一般的に「定住者」などへの変更許可申請を行う必要がありますが、これには厳格な審査があります。

永住か、帰国か。定まらない将来設計

審査の結果、希望する在留資格が許可されない可能性もゼロではありません。また、今は日本に留まるつもりでも、高齢になった時や、母国の家族の事情により、将来的に完全帰国(本帰国)を選択する可能性もあるでしょう。

もし、お墓の名義変更を行った後に本帰国することになった場合、日本に残されたお墓は管理者を失います。

「無縁墓」になるリスク

管理者が不在となり、管理料が支払われなくなったお墓は、最終的に「無縁墓」として法律に基づき撤去され、ご遺骨は合祀(他人の遺骨と混ぜて埋葬)されてしまいます。
故人が大切にしていたお墓が、数年後に荒れ果てて処分されてしまう。これは、供養する側にとって最も避けたい事態です。

「お墓を守りたい」という気持ちと、「日本にいつまでいられるか分からない」という現実は、常にセットで考える必要があります。

将来の不安を断つ「墓じまい」という選択肢

こうした「ビザの不確実性」と「お墓の維持管理」のジレンマを解決する現実的な方法として、近年選択されているのが「墓じまい(改葬)」です。

墓じまいとは、単にお墓を処分することではなく、ライフスタイルに合わせて「供養の場所や形を変えること」を指します。外国籍の配偶者の方にとって、墓じまいは主に以下の2つの方向性があります。

① 永代供養への切り替え

既存のお墓を撤去し、遺骨を「永代供養墓」や「納骨堂」に移す方法です。
永代供養であれば、寺院や霊園が家族に代わって永続的に管理・供養を行ってくれます。承継者が不要であるため、もし将来ご自身が母国へ帰ることになったり、亡くなったりした後も、お墓が無縁化する心配がありません。

日本に住んでいる間は自由にお参りができ、万が一の際も安心が担保されているため、精神的な負担を大きく軽減できます。

② 母国への改葬(遺骨の搬送)

お墓をしまい、取り出したご遺骨を母国へ連れて帰るという選択肢です。
「故人も私の国を愛してくれていたから」と、一緒に帰国を希望される方もいます。

この場合、日本の役所での「改葬許可申請」に加え、相手国の受け入れ証明、公文書の翻訳、外務省による認証(アポスティーユ等)、大使館での手続きなど、複雑な国際手続きが必要となりますが、法的には可能です。

専門家への相談

日本人配偶者との死別に伴うお墓の問題は、単なる継承手続きではありません。ご自身の「日本での在留資格」や「老後の居住地」をどうするかという、人生設計そのものに関わる重要なテーマです。

無理にお墓を維持して将来的に無縁墓にしてしまうよりも、ご自身が動けるうちに「墓じまい」を行い、永代供養など安心できる形に整えておくことは、故人に対する責任ある供養の形の一つと言えます。

手続きには、お墓に関する法律知識だけでなく、入管法や国際手続きの知識も必要となります。一人で抱え込まず、専門的な知識を持つ第三者に相談しながら、最善の道を探ることをお勧めします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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