日本で「土葬」はできるのか?法制度・現実・代替選択まで徹底解説

「日本で土葬はできますか?」「宗教上の理由(イスラム教など)で火葬を避けたい」「外国人の家族を日本で土葬したい」——こうしたご相談は、近年少しずつ増えています。

結論から言えば、日本で土葬そのものが法律で全面的に禁止されているわけではありません。しかし、自治体の条例、墓地の管理規約、そして受け入れ墓地が極めて少ないことにより、実際に土葬を行うのは非常に難しいのが現実です。この記事では、土葬の法律・手続き・実務上の壁・代替策まで、行政書士がわかりやすく解説します。

緑の森の中にある石を積み上げた古い墳墓
土に還す葬送は世界各地で古くから営まれてきた
目次

日本で土葬は法律で禁止されている?まず結論

日本には「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓地埋葬法)」があります。この法律は火葬だけでなく「埋葬(=遺体を土中に葬る土葬)」も定義しており、土葬そのものを一律に禁止してはいません。

ただし、遺体をどこにでも自由に埋められるわけではありません。土葬・火葬を問わず、埋葬には次の条件が必要です。

  • 市区町村に死亡届を提出し、「埋葬許可証」を取得すること
  • 都道府県知事等の許可を受けた「墓地(霊園)」に埋葬すること
【重要】自宅の庭や私有地に埋めるのは違法です

埋葬は許可を受けた墓地でしか行えません。自宅の庭や所有する山林などに勝手に埋めると、まず墓地埋葬法第4条違反となり、状況によっては刑法第190条の「死体遺棄罪」に問われる可能性があります。絶対に行わないでください。

国の法律で禁止されていなくても「条例」で制限される

墓地埋葬法が禁止していなくても、多くの自治体が公衆衛生の観点から、土葬を禁止・制限する独自の条例を設けています。東京23区・大阪市・名古屋市などの都市部では、条例によって実質的に土葬は不可能です。当事務所のエリア(箕面市・豊中市・池田市など北摂地域)でも、まずは各自治体の条例確認が出発点になります。

土葬を阻む「二つの壁」

土葬が難しい理由は、大きく分けて二つあります。

壁① 自治体の条例による制限

前述のとおり、都市部や水源地の近くでは条例で土葬が禁止・制限されています。条例の有無・内容は自治体ごとに異なるため、希望する土地がどの自治体に属するかをまず確認する必要があります。

壁② 受け入れてくれる墓地がほとんどない

こちらが最大の壁です。日本の火葬率は99.9%以上で、現在の霊園・公営墓地のほぼすべてが「火葬後の遺骨を納める」前提で設計されています。土葬は深さ2メートル以上の広い区画や長期的な土壌・衛生管理が必要なため、管理規約で「土葬不可(火葬のみ)」と明記している墓地が大半です。

宗教不問またはイスラム教徒(ムスリム)向けに土葬を受け入れている墓地は、2023年時点の調査で全国にわずか十数か所とされ、その分布は次のように偏っています。

エリア土葬可能な墓地の現状
東日本北海道・茨城県・埼玉県・山梨県・静岡県などに集中(約7か所)
西日本京都府・和歌山県・兵庫県・広島県などにごく少数(約4か所)
四国・九州受け入れ墓地は実質ゼロ

※ 上記は2023年前後の調査に基づく概況です。受け入れ可否・条件は墓地ごとに異なり、年々変動します。インターネット上の古い情報だけで判断せず、必ず最新の状況を個別に確認してください。

新しい土葬墓地を「つくる」のも極めて困難

近年、ムスリム向け土葬墓地の新設計画がいくつか進められましたが、住民の反対などで実現に至っていません。代表例として、大分県日出町の計画は2024年の町長選で反対派が当選し町有地売却が停止、宮城県が検討した県営の土葬対応墓地も2025年9月に白紙撤回されました。新設のハードルは非常に高いのが現実です。

外国人・宗教上の理由で土葬を希望する場合

笑顔で集うヒジャブを身につけたムスリムの女性たち
イスラム教では火葬が禁じられ土葬が原則とされる

イスラム教やユダヤ教など、教義上の理由で土葬を希望される方がいます。とくにイスラム教では火葬が禁じられ、できるだけ早く(24時間以内が望ましいとされる)土葬することが原則です。また、日本で暮らす外国人が亡くなった際、ご家族が母国の慣習に従い土葬を望まれることもあります。

しかし、日本国内で埋葬する以上、日本の法律・自治体条例・墓地規則に従う必要があります。「宗教上の理由だから」「外国籍だから」というだけで当然に土葬が認められるわけではありません。

そのため、土葬を希望する場合は、①受け入れ可能な墓地を探し、②その墓地が所在する自治体の条例・手続きを確認するという二段階の調整が必要になります。宗教的事情がある場合ほど、早い段階で受け入れ先・行政手続き・必要書類を確認しておくことが重要です。

土葬の手続きには「時間切れ」のリスクがあります

日本の法律では、死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)に死亡届を提出しなければなりません(戸籍法)。

「土葬にしたいが、どこの墓地ならできるのか分からない」「役所で土葬を相談したら難色を示された」と悩むうちに、やむなく火葬の手続きに進まざるを得なくなるケースが後を絶ちません。

とくにご遺体を母国へ送還する場合は、大使館・領事館の証明、エンバーミング(遺体衛生保全)、航空便の手配、検疫など、専門知識なしに数日でこなすのは不可能なほど複雑です。だからこそ、一刻を争う状況になる前、できれば亡くなられた直後の段階で行政手続きの専門家へご相談いただくことが、ご希望を叶える近道になります。

土葬を希望する場合の手続きの流れ

  1. 1死亡届の提出(死亡を知った日から7日以内/国外死亡は3か月以内)
  2. 2埋葬許可証の取得
  3. 3土葬を受け入れている墓地の確認・確保(最大の難関)
  4. 4墓地管理者との確認・調整(受入条件・受入証明の手配など)
  5. 5自治体条例・管理規約の最終確認
  6. 6埋葬(土葬)の実施

実務上もっとも難しいのは「土葬を受け入れている墓地を確保すること」です。ここで止まる例が多いため、早い段階での個別確認が欠かせません。

土葬が難しい場合の現実的な代替策

希望する地域で土葬が難しくても、いくつかの代替方法があります。

1. 火葬後に宗教的配慮のある供養

日本では火葬が一般的なため、火葬後の遺骨に対して信仰やご家族の想いに配慮した供養を行う方法です。受け入れられるかは宗教上の考え方によりますが、現実的に最も選ばれやすい選択肢です。

2. 母国へ送還(国際遺体搬送)

母国の慣習・宗教に従って埋葬する方法です。死亡届・各種証明・エンバーミング・航空輸送・大使館調整など多くの手続きが必要で、遺体の空輸だけで70万〜100万円程度(搬送先や手続きにより変動)かかることが多く、早めの確認が大切です。

なお、すでに日本にお墓がある状態で帰国を検討している方は、お墓を残したまま帰国するリスクもあわせてご確認ください。

3. 遠方の土葬可能な墓地を探す

全国にごく一部だけ土葬を受け入れる墓地があります。ただし受け入れ状況は地域・墓地の方針で異なり一定ではないため、古い情報で判断せず、最新の受け入れ可否を個別に確認する必要があります。

行政書士に相談できること

土葬は、法律・自治体条例・墓地規約・必要書類など確認点が多く、外国人の方や宗教上の事情がある場合は関係者との調整も重要です。当事務所では、ご事情を丁寧に伺ったうえで次のようなサポートを行います。

  • 日本の埋葬制度・墓地埋葬法のわかりやすいご説明
  • 希望地域の自治体条例・土葬の可否の調査
  • 土葬を受け入れている墓地の規約・条件の確認サポート
  • 死亡届・各種許可申請など、役所へ提出する書類の作成・提出代行のご案内
  • 墓地管理者・関係機関との連絡・調整のサポート(受入証明の手配など)
  • 母国送還(国際搬送)を検討する場合の行政手続き・領事館等との連絡サポート
  • 国際搬送業者・葬儀社など専門業者とのスムーズな連携のご案内

※ 当事務所がお手伝いするのは、書類の作成・提出代行と、関係先との事実上の連絡・調整の範囲です。紛争性のある交渉ごとは弁護士の業務範囲となります。中国語での対応も可能です。

土葬・海外送還の手続きでお困りの方へ

土葬や海外送還は、役所・墓地・宗教・大使館が複雑に絡み合い、ご家族だけで進めると「時間切れ」になりがちです。
「どこに相談すればいいか分からない」「急ぎで対応してほしい」——そんなときは、まずお気軽にご相談ください。中国語でのご相談にも対応しています。

よくある質問(FAQ)

Q.日本人でも土葬はできますか?

法律上、土葬そのものが一律に禁止されているわけではありません。ただし自治体条例や墓地規則により、実際に土葬できる場所は非常に限られています。

Q.外国人であれば土葬が認められますか?

外国籍であることだけで特別に認められるわけではありません。日本国内で埋葬する場合は、日本の法律・自治体条例・墓地規則に従う必要があります。

Q.宗教上の理由があれば土葬できますか?

宗教上の理由は重要な事情ですが、それだけで条例や墓地規則を超えて認められるわけではありません。実際には、土葬を受け入れている数少ない墓地を個別に探す必要があります。

Q.自宅の庭や私有地に埋葬できますか?

できません。埋葬は許可を受けた墓地で行う必要があり、私有地に勝手に埋めると墓地埋葬法違反、場合によっては死体遺棄罪に問われる可能性があります。

Q.土葬できる墓地を探してもらえますか?

地域・宗教的背景・ご家族の希望を伺ったうえで、確認すべき事項を整理し、可否の調査や関係先・自治体への確認をトータルでサポートします。

まとめ

日本では、土葬そのものが法律で全面的に禁止されているわけではありません。しかし自治体条例・墓地の管理規約・衛生面・土地の問題により、実際に行うのは非常に難しいのが現実です。外国人の方や宗教上の理由で希望される場合でも、日本国内では日本の埋葬制度に従う必要があります。

土葬を希望される場合は、①受け入れ可能な墓地があるか、②自治体条例に問題はないか、③必要書類は何かを「一日でも早く」確認することが何より大切です。ご家族の想いや宗教的背景を大切にしながら、現実的にどんな選択肢があるかを一緒に整理します。土葬・埋葬・母国送還・墓地手続きでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「こんなこと相談していいの?」
—— 大丈夫です! あなたの想いに丁寧に寄り添います

フジ行政書士事務所では、「墓じまいをしたいけれど、何から始めればいいかわからない」「手続きや費用の目安を知りたい」「遠方のお墓を整理したい」といったご相談を多くいただいています。
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お墓の現状やご家族のご希望に合わせて、最も良い形を一緒に考えてまいります。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市のフジ行政書士事務所代表。改葬許可申請など、墓じまいに伴う行政手続きや書類作成を支援しています。ご家族や寺院への配慮を大切にし、遠方のお墓にも対応しています。大阪府行政書士会所属(登録番号 第24261915号)。

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