なぜ墓じまいは「踏み出しにくい」と感じられるのか
墓じまいについて相談を受けると、多くの方が最初に口にするのは「どう始めれば良いか分からない」という言葉です。これは、単に手続きが複雑だからではありません。お墓には家族の歴史や思いが積み重なっており、その場所を動かすという事実自体が、自然と慎重さを生みます。
気持ちを揺らすのは、「自分が判断していいのか」「ほかの親族はどう感じるか」という迷いです。長年守ってきたものに手を加えるとなると、どうしても“最初の一歩”にためらいが生まれます。
また、お寺への連絡も、踏み出しにくさにつながる要因です。檀家として長くお世話になってきた寺院へ、離檀の意向や墓じまいの相談を切り出すのは、多くの人にとって緊張を伴う場面です。「失礼があってはいけない」「何から話せばいいのか分からない」と感じれば、行動に移す前に足が止まってしまいます。
お墓というのは、普段は深く意識しない場所でありながら、いざ向き合うとなると家族の節目の象徴のように存在しているため、どうしても慎重になるのは自然なことです。墓じまいは“難しい”のではなく、背景にある思いや人間関係が、一歩を踏み出しにくくさせているだけと言えるでしょう。
墓じまいの手続きの流れと気をつけたい点
実際の手続きは、大きく「改葬許可申請」「閉眼供養」「墓石撤去」「遺骨の移転」という流れで進みます。この一連の作業は、複数の関係先と同時進行で調整する必要があり、慣れていない人にとって把握しづらい部分が多いのが実情です。
中心となるのは「改葬許可申請」です。現在のお墓がある市区町村で行う手続きで、これがないと遺骨を移動させることができません。寺院や霊園の管理者に署名・押印を依頼し、移転先からも受入証明をもらう必要があるため、事前のやり取りが欠かせません。
並行して行うのが「閉眼供養」です。お墓に宿る魂を抜く儀式で、宗派によって形式が異なるものの、多くの寺院では墓石撤去の前提として行っています。このため、日程調整や準備が重要になります。
墓石の撤去は石材店による作業ですが、業者によって費用も品質も大きく差があります。見積もりの内訳が不明確なまま契約すると、追加料金が発生するケースも見られます。また、撤去後の更地の仕上げが雑でトラブルになる例も少なくありません。
遺骨の移転先も、永代供養・納骨堂・手元供養・散骨など選択肢が広く、どれを選ぶかで必要な書類や準備が変わってきます。このように、墓じまいは「どこから進めればいいか分からない」と感じる理由があり、踏み出しにくさと実務的な複雑さが重なる手続きだと言えます。
行政書士が入ると何が変わるのか
行政書士が関与する最大のメリットは、「全体の流れが整理され、やるべきことが明確になる」という点です。改葬許可申請は自治体ごとに書式や運用が異なるため、初めての方には分かりづらい部分が多くあります。行政書士はその部分を丁寧に整理し、必要書類の準備から申請方法までサポートできます。
また、お寺や霊園との連絡調整も行政書士が代わって行うことができます。離檀や供養の相談は、依頼者が直接言い出しにくい領域ですが、専門家が間に入ることで必要事項を冷静かつ正確に伝えられ、誤解を防ぐことができます。離檀料についての一般的な考え方や、無理のない金額かどうかの判断にも助言できます。
墓石業者に対しても、行政書士が複数の見積もりを比較し、適正かどうかをチェックできます。撤去作業の記録写真を残す、遺骨の数量を確認するなど、作業の透明性を確保する点でも行政書士が関わる意味は大きいといえます。
遠方に住んでいて墓地へ行けない依頼者の代わりに、書類提出や寺院との打ち合わせを進めるケースも増えています。墓じまいのように複数の要素が絡む手続きでは、「誰かに整理してほしい」「専門家に任せたい」というニーズは非常に高く、行政書士はその役割を担うことができます。
安心して進めるために知っておきたいポイント
墓じまいを進めるうえで、依頼者が理解しておくべきポイントがいくつかあります。まず一つ目は「費用の全体像を把握する」ことです。墓石撤去、閉眼供養、離檀料、永代供養料など複数の費用が関係するため、事前に総額のイメージを持つことが安心につながります。行政書士は見積もりの妥当性を確認し、予想外の追加費用が発生しないように助言できます。
二つ目は「業者選びの慎重さ」です。近年、“格安”をうたう墓じまい広告も多く見られますが、実際には追加費用が次々に請求されるケースや、作業の質が低いまま終わるケースもあります。行政書士が信頼できる石材店と連携している場合、適正価格で安全に作業を進められます。
三つ目は「相続との関連」です。墓じまいは単独の作業に見えますが、実際には相続人の確認、墓地の名義、仏壇の扱いなど、家族の財産や承継の問題とつながっています。行政書士はこれらを横断的に整理できるため、長期的に見ても安心して任せられます。
墓じまいは、人生の中で何度も経験するものではありません。迷いがあるのは当然であり、その“踏み出しにくさ”を理解したうえで並走してくれる専門家がいることで、初めて安心して前に進める方が多くいます。行政書士はその役割を担い、依頼者の負担をできる限り軽くする存在といえるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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