墓じまいが増える時代――費用と永代供養から見る新しい供養のかたち
近年、「墓じまい(お墓を閉じること)」という言葉を耳にする機会が格段に増えています。厚生労働省の統計では、全国の改葬件数が年間15万件を超え、過去最高を更新しています。背景には、少子高齢化、核家族化、都市への人口集中、そして「供養の価値観」の変化があります。 かつては「家を継ぐ人が墓を守る」のが当然でしたが、いまは「子どもに負担をかけたくない」「維持費を減らしたい」と考える人が増えています。そうしたなかで注目を集めているのが、墓じまいの費用の把握と永代供養という新しい供養方法です。お墓をどう維持するかではなく、どう「受け継がなくても続けられるか」という視点へと変化しているのです。
墓じまいが増える理由と社会の変化
墓じまいが増えている理由は大きく分けて三つあります。第一に「お墓が遠方にある」こと、第二に「お墓を継ぐ人がいない」こと、第三に「お墓の維持費用や管理が難しくなった」ことです。 地方にある実家の墓を守るために、何時間もかけて帰省する負担は大きくなっています。都市部に住む子ども世代にとっては、交通費や宿泊費、そして将来にわたる管理費が重い負担になります。お墓を守るために働き方や生活を制限することは、現代社会では難しくなりました。 また、少子化・未婚化により、「墓を継ぐ人がいない」という問題も深刻化しています。長男が家を継ぐという考え方はすでに崩れ、単身世帯や子どものいない夫婦も増えています。こうしたなか、「墓じまいをして永代供養に切り替える」という選択が現実的な解決策になっています。 さらに、墓地の管理費用や維持の手間も大きな理由です。お墓の清掃や草刈りを行う高齢者が増え、体力的に難しくなるケースが目立っています。お布施や離壇料といった寺院との関係にかかる支出も、心理的な負担の一因です。 このように、「お墓を守る」こと自体が難しくなるなかで、永代供養という“管理負担のない供養”が注目を集めています。墓じまいは、単なる片付けではなく、「これからの家族の形を考える契機」でもあるのです。
墓じまいの費用と永代供養の選択肢
墓じまいの費用は、お墓の立地や広さ、墓石の状態、そして新しい供養先の種類によって異なります。大阪府の平均費用はおおよそ50万円から200万円とされていますが、条件によって大きく変動します。 費用の内訳としては、墓石の撤去・解体工事が最も大きな割合を占めます。1㎡あたり10万〜15万円程度が相場で、山間部や重機が使えない墓地ではさらに費用が上がります。加えて、改葬許可申請の手数料、閉眼供養のお布施、離壇料などが必要になります。お布施や離壇料には上限があるわけではなく、寺院との関係や儀式の内容によって異なります。 ここで重要なのは、墓じまいの後にどんな供養を選ぶかです。改葬先の費用も墓じまい全体のコストに大きく影響します。永代供養墓を選ぶ場合、費用はおおむね10万円から50万円前後が目安です。合祀墓(ほかの方と一緒に納骨するタイプ)であればさらに低額になることもあります。 一方で、納骨堂を選ぶ場合は平均で70万円前後、樹木葬では10万〜30万円程度が相場とされています。都市部では屋内型納骨堂が人気で、天候に左右されず、アクセスも良いことから選ばれやすい傾向にあります。 つまり、墓じまいの費用を考えるときは「撤去にかかる費用」と「永代供養に切り替える費用」をセットで捉えることが大切です。形式を重視するよりも、「家族にとって無理のない費用で、気持ちを込めて供養できる形」を選ぶことが、今の時代に合った考え方といえます。
墓じまいの手続きと注意点
墓じまいの流れは、おおまかに次の通りです。 まず、家族や親族間で合意を形成します。墓じまいは感情が関わる問題のため、事前の話し合いが欠かせません。特に、兄弟姉妹間で意見が食い違うことも多く、早めの共有が大切です。 次に、新しい納骨先を決めます。この際、改葬許可申請に必要な「受入証明書」を先に取得しておくことが重要です。永代供養墓や納骨堂を選ぶ場合、施設側が発行してくれます。 その後、現在の墓地管理者(寺院・霊園など)に墓じまいの意思を伝え、撤去の方法や日程を確認します。寺院墓地では離壇の手続きが必要になることもあります。お世話になったご住職には、感謝の気持ちを込めてお布施をお渡しし、丁寧にご挨拶をするのが一般的です。 行政手続きとしては、市区町村役場で「改葬許可申請書」を提出します。許可が下りたら石材業者に依頼して墓石を解体し、遺骨を取り出します。その後、新しい供養先に遺骨を納め、開眼供養などの儀式を行います。 墓じまいを進める際の注意点として、費用に関するトラブルが多いことが挙げられます。「思っていたより高かった」「業者によって見積りが異なる」といったケースは少なくありません。複数社から見積もりを取り、内容を比較することが大切です。また、墓地によっては「指定業者制度」があり、自由に業者を選べない場合もあります。 そして忘れてはならないのが、閉眼供養(魂抜き)です。これは、長年宿っていた先祖の魂を穏やかに送り出す大切な儀式です。お布施の金額には決まりがなく、感謝の気持ちを込めてお渡しします。形式だけで終わらせず、「これまで守ってくださったお墓にありがとう」と伝える気持ちを大切にすることが望まれます。
これからの供養――費用を抑え、永代供養でつなぐ未来
これからの日本社会では、「墓じまい」と「永代供養」は切り離せない関係にあります。どちらも、家族や地域の状況に合わせて柔軟に供養を続けるための選択肢です。 従来のように「子どもが墓を守る」ことが難しくなった今、永代供養によって寺院や霊園が代わりに供養を続けてくれるという安心感は非常に大きなものです。管理の負担がなく、費用も明確で、後継者がいなくても供養が続く。こうした実利的なメリットが、墓じまいを後押ししています。 また、永代供養墓には「合祀型」「個別型」「樹木葬型」など多様なスタイルがあり、自分の価値観に合った形を選ぶことができます。自然に還りたい人、静かな場所で眠りたい人、アクセスの良さを重視したい人――それぞれの希望に合わせて供養を選べるのです。 費用面でも、永代供養は管理費が不要なことが多く、長期的には経済的な負担を軽減します。「子どもに迷惑をかけたくない」「自分の代で整理しておきたい」という考えの方にとって、非常に現実的な選択です。 とはいえ、墓じまいは一度きりの手続きです。閉眼供養、改葬、納骨、返還と、複数の関係者が関わるため、行政書士や石材店、寺院と連携しながら進めるのが安心です。大阪府内では地域事情に詳しい専門家が多く、費用や永代供養の相談にも柔軟に対応してくれます。 供養の形は変わっても、「先祖を敬う心」は変わりません。墓じまいは、過去を整理する行為であると同時に、未来の家族への思いやりでもあります。費用を抑えつつ、永代供養という新しい形で供養をつなぐ――それが、現代における「心ある選択」なのです。
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