合祀(ごうし)墓は「可哀想」なのか? 実際の利用者の本音と、後悔しないための決断

「墓じまいを考えているけれど、合祀(ごうし)にするのはご先祖様が可哀想な気がして…

行政書士として墓じまいのご相談を受ける中で、最も多く耳にするのがこの悩みです。 お墓を片付けること自体は決めていても、「遺骨を他人と一緒に埋葬する」という最終的な決断の段階で、罪悪感に苛まれてしまう方は非常に多いのです。

「知らない人と一緒にするなんて冷たいのではないか?」 「お金をケチったと思われないか?」

そんな葛藤を抱える方に向けて、今回は**実際に合祀を選んだ方々の「本音」**をご紹介します。 実際に踏み切った人たちは、その後どう感じているのでしょうか。後悔しているのか、それとも安堵しているのか。リアルな声をお届けします。


目次

そもそも「合祀(ごうし)」とは?

まず前提として、合祀(ごうし)とはどういうものかを確認しましょう。 合祀とは、骨壺からご遺骨を取り出し、他の方のご遺骨とまとめて埋葬する方法です(合葬とも呼ばれます)。

一般的に、永代供養墓や樹木葬の最終形態として選ばれることが多く、費用を安く抑えられるのが特徴です。 しかし、ここで最大のリスクとなるのが、**「一度合祀すると、二度と個別に遺骨を取り出せない」**という点です。

「やっぱり別のお墓に移したい」と思っても、他の人の骨と混ざってしまっているため不可能です。これが、「可哀想」「怖い」と感じさせる最大の要因でしょう。


「可哀想だ」と感じる正体

なぜ私たちは合祀を「可哀想」だと感じるのでしょうか。反対する親族の方などの意見を整理すると、不安の正体が見えてきます。

  • 「他人と一緒」への抵抗感:見知らぬ人と一緒の空間に混ぜられることへの生理的な拒否感。
  • 「個」の喪失:個別の墓石がなくなり、手を合わせる対象が「みんなのお墓(モニュメント)」になることへの寂しさ。
  • 世間体:「先祖を大切にしていない」「お金を惜しんだ」と周囲に思われるのではないかという恐怖。

これらは、長年「家のお墓」を守ってきた日本人として、当たり前の感情です。


実際に合祀を選んだ「利用者の声」

では、その葛藤を乗り越えて合祀を選んだ人たちは、現在どう感じているのでしょうか。

A. 「やってよかった」派の声(安心・開放感)

実は、実際に合祀を済ませた方の多くは、罪悪感よりも**「安堵感」**を口にされます。

「無縁仏になるよりずっと良い」(40代男性) 「将来、自分も子供もお墓を管理できなくなり、雑草だらけで荒れ果てた『無縁仏』にしてしまうことこそ、ご先祖様に申し訳ないと思いました。 合祀でも、管理の行き届いた綺麗なお寺で、毎日お経をあげてもらえる方が、ご先祖様も幸せなんじゃないかと今は思っています。」

「子供に重荷を背負わせずに済んだ」(70代女性) 「娘にお墓の管理や維持費という『負の遺産』を残したくない一心で決断しました。手続きが終わった時、本当に肩の荷が下りました。これで安心して逝けます。」

「寂しくなくていいかも」(60代女性) 「山奥の墓地にポツンとあるより、みんなと一緒で賑やかな方が、寂しがり屋だった父らしいかも(笑)と、考え方を変えました。」

B. 「注意が必要」派の声(想定外のトラブル)

一方で、「もっとこうすればよかった」という声もあります。

「親戚から猛反発を受けた」(50代男性) 「自分の一存で決めて事後報告したら、兄から『勝手なことをするな!』と激怒されました。法的には問題なくても、心情的な部分で事前にしっかり合意形成しておくべきでした。」

「手を合わせる時に少し寂しい」(60代女性) 「頭では分かっていましたが、いざお参りに行くと、大きな石碑に向かって手を合わせるだけなので、やはり『父に会いに来た』という感覚は薄れます。少し手元に残しておけばよかったかな、と思います。」


「可哀想」で終わらせないための解決策

「管理はできないけれど、いきなり合祀はやっぱり抵抗がある…」 そんな方には、0か100かで考えない方法をおすすめしています。

1. 「手元供養」との合わせ技

全てを合祀するのではなく、ご遺骨の一部だけを小さな骨壺やペンダントに入れて手元に残す方法です。 これなら、「お墓じまい」をして負担をなくしつつ、「故人を身近に感じる」という供養の心も満たせます。「捨ててしまった」という罪悪感が驚くほど消える方法です。

2. 「一定期間個別」のプランを選ぶ

多くの永代供養墓には、「最初の13年(または33年)は個別に安置し、その後合祀する」というプランがあります。 これなら、自分がお参りに行ける元気なうちは個別の場所があり、将来の管理の心配もありません。


行政書士からのアドバイス:一番大切なのは「話し合い」

合祀が「可哀想」かどうかは、お墓の形ではなく、供養する側の心が決めることです。

立派なお墓があっても、誰も訪れず荒れ放題になっている状態と、 合祀であっても、綺麗に整備され、家族が心安らかに手を合わせられる状態。

どちらが故人にとって幸せか、正解はありません。 だからこそ、家族や親族としっかり話し合うことが最も重要です。

「管理が大変だから」という理由だけでなく、「将来、無縁仏にしないために、今しっかり供養の形を整えたい」という前向きな気持ちを伝えれば、周囲の理解も得やすくなります。

墓じまいや改葬の手続き、親族間の調整などで迷われた際は、ぜひ専門家にもご相談ください。あなたの家に合った、一番後悔のない方法を一緒に考えましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「こんなこと聞いてもいいのかな?」
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フジ行政書士事務所では、墓じまい・改葬・永代供養など、お墓に関するあらゆるご相談を受け付けています。
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一人ひとりの状況に合わせて、無理のない方法をご提案しながら、丁寧にサポートいたします。

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