石はなくなっても、歴史は消さない。墓じまいの前に「家系図」を作るべき理由

墓じまいのご相談を受けていると、多くの方が口にされる「迷い」があります。

「お墓を片付けてしまったら、ご先祖様との繋がりが切れてしまう気がする」 「子供に負担をかけたくないけれど、自分の代で終わらせてしまって本当に良いのだろうか」

そのお気持ち、痛いほどよく分かります。 お墓は単なる石ではなく、家族の歴史そのものだからです。

しかし、行政書士として数々の改葬(お墓の引越し)に立ち会ってきた私は、こう考えます。 「墓じまいこそ、ご先祖様の歴史を、より鮮明な形で後世に残す最大のチャンスである」と。

今回は、お墓という「場所」をなくす代わりに、「記録」として家族の絆を残す方法についてお話しします。

墓じまいをするためには、役所に「改葬許可申請」を行う必要があります。 この手続きには、誰の遺骨が埋まっているのか、申請者と故人がどういう関係なのかを証明する書類が必要です。

そのため、私たち行政書士は業務として、古い「戸籍(除籍・原戸籍)」を職権で遡って取得します。 明治、大正、昭和と時代を遡り、古い手書きの戸籍を読み解いていく。 実はこの作業こそが、自分たちのルーツを辿る旅そのものなのです。

普段の生活で、自分の高祖父(ひいひいおじいちゃん)の名前を知る機会などまずありません。 しかし、墓じまいの手続きを進める中で、「ご先祖様はこんな名前だったのか」「元々は別の地域に住んでいたのか」という、埋もれていた事実が次々と明らかになります。

お墓の墓誌(戒名などが彫られた板)にも名前は刻まれていますが、雨風に晒され、いずれ読み取れなくなってしまいます。 また、遠方にあるお墓の情報は、頻繁に見に行くこともできません。

一方で、戸籍から作った「家系図」は、色褪せることがありません。 墓じまいをするこのタイミングで、集めた戸籍情報を整理し、一本の家系図として完成させる。 そうすれば、お墓という「石」はなくなっても、ご先祖様が生きた証は、紙やデータとして手元に残り続けます。

ある依頼者様のお話です。 その方は、罪悪感を抱えながら墓じまいを決断されました。 しかし、手続きの過程で作成した家系図を見て、こう仰いました。

「お墓参りには年に一度しか行けなかったけれど、この家系図なら毎日仏壇の前で見ることができますね。子供や孫にも、自分たちがどこから来たのかを説明できます」

お墓を守ることは大切です。しかし、管理ができずに荒れ果ててしまうよりは、形を変えてでも、その歴史をしっかりと語り継いでいくことの方が、ご先祖様にとっても幸せなことではないでしょうか。

今はインターネットで簡易的な家系図キットなども売られていますが、江戸末期や明治初期の古い戸籍の文字(変体仮名など)を正確に読み解くには、専門的な知識が必要です。 また、役所への請求手続きも、正当な理由がなければ認められません。

改葬手続きのプロである行政書士なら、法的な手続きの一環として、正確かつ公的な裏付けのある資料を集めることができます。

墓じまいは「終わり」ではありません。 家族の歴史を「場所」による保存から、「記録」による保存へとアップデートする、新しいスタートです。

「お墓を閉じるのが申し訳ない」 そう思っている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。 手続きだけでなく、ご先祖様の生きた証をどう残すか。その想いも含めて、サポートさせていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「こんなこと聞いてもいいのかな?」
—— 大丈夫です。あなたの気持ちに寄り添いながらお手伝いします

フジ行政書士事務所では、墓じまい・改葬・永代供養など、お墓に関するあらゆるご相談を受け付けています。
「費用のことが不安」「どんな手続きから始めたらいいかわからない」「お寺との話し合いが心配」――そんなときこそ、どうぞお気軽にご相談ください。
一人ひとりの状況に合わせて、無理のない方法をご提案しながら、丁寧にサポートいたします。

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