墓じまいが急増している背景とは|なぜ今、多くの家族が決断しているのか

墓じまいが急増している背景 ― いま日本社会で何が起きているのか

墓じまいは、もはや一部の家庭だけの特別な話ではなく、日本全体で確実に増え続けています。少子高齢化や価値観の変化が語られることが多いものの、その裏側には、もっと複雑で切実な事情が積み重なっています。ここでは、なぜ墓じまいが急増しているのか、その背景をできるだけ“生活者のリアル”に寄り添いながら整理していきたいと思います。

家族構成の変化と「承継の見通しが立たない」という不安

墓じまいを考えるきっかけとして最も多いのが、お墓を継ぐ人がいないという問題です。昔は三世代同居、あるいは同じ地域で暮らし続ける家族が多く、墓守りの役割は自然と決まっていました。しかし、いまは子どもが都市部や他県へ移り住み、親世代とは離れて暮らすケースが当たり前になっています。

・子どもがいない、あるいは一人っ子で遠方暮らし
・転勤や就職・進学で家族が全国に分散している
・親と疎遠になり、お墓の管理まで手が回らない
・長期的に定住する見通しが立たない

こうした事情が重なり、「将来、お墓を誰が見ていけるのか」という不安が強まっています。管理料の負担や寺院からの連絡を気にし、早めに整理しておきたいと考える家庭が増えているのです。

費用負担の増加と管理の手間 ― 現役世代にのしかかる現実

墓じまいが急増しているもう一つの大きな理由は、費用と管理の重さです。

お墓は一度建てたら終わりではなく、管理料、雑草処理、墓石の補修、法要など、継続的な出費が必要になります。特に地方の広い墓地の場合、管理にかかる時間も負担になります。

・お盆や命日に毎年帰省できない
・高齢の親が墓参りできなくなり、代わりに通うのが大変
・墓石の劣化修繕に大きな費用が必要になる
・将来にわたり費用を負担できるか不安

働きながら介護や子育てを担う世代にとって、「この管理を何十年も続けるのは難しい」という意見は増え続けています。

また、霊園や寺院の管理費が値上がりしている地域もあり、費用面の負担が墓じまいを後押しするケースもあります。

弔いの価値観の変化 ― 「持つ」から「託す」へ

昔は「家のお墓を持つこと」が当たり前でしたが、近年は弔いのあり方が大きく変わっています。

・永代供養墓や合葬墓の選択肢が広がった
・海洋散骨や樹木葬など自然志向の供養が増加
・親族のつながりが弱まり、家単位で墓を守ることが難しくなった
・「迷惑をかけない供養」を重視する人が増えた

「後々の負担を残したくない」「静かに眠れる場所を選びたい」という考え方が一般的になり、管理を託せる供養の需要が高まっています。特に都市部の単身者や子どものいない夫婦を中心に、従来の墓を持たない選択が広がっています。

地域の寺院との関係性も昔より薄くなり、檀家制度に縛られず柔軟に供養を選べる環境が整ったことも、墓じまい増加の一因です。

社会構造の変化 ― 変わり続ける家族・地域のかたち

墓じまいの増加は、個々の家庭事情だけでなく、日本社会全体の変化とも結びついています。

・高齢者の単身世帯が増え、墓守りの担い手がいない
・離婚や再婚の一般化で家族関係が複雑化
・進学・転勤・転職で家族が定住しにくくなった
・仕事や生活拠点が流動的になり、地元の墓を維持しづらい

こうした変化により、「この先、お墓を家族の誰が見られるのか分からない」という不安が大きくなり、早めに墓じまいを検討する家庭が増えています。

自治体でも同様の相談が増え、案内パンフレットを整備する地域もあります。墓じまいは、現代の家族・地域のかたちが大きく変化していることを映し出す現象とも言えます。

これから墓じまいはさらに増えるのか?

結論として、墓じまいは今後も確実に増加します。

理由は明確で、

・少子高齢化
・単身世帯の増加
・全国規模で家族が分散している現実
・寺院の檀家数減少
・供養方法の多様化
・将来お墓を守れるか不安に感じる人の増加

といった流れが今後も続くためです。

特に2040年にかけて大きな人口変動が起きる中、墓じまいの相談件数はさらに増えると見込まれています。霊園や寺院も、永代供養や合葬墓など、新しい供養のかたちが主流になる方向へ変わりつつあります。

いま、多くの家族が“決断”している

墓じまいが増えている背景には、「家族構成」「費用負担」「価値観」「社会構造」という複数の要素が重なっています。

誰もが「できれば避けたい」と思いながらも、

・将来、お墓を守り続けられるか不安
・維持管理の負担を家族に残したくない
・今の生活や働き方に合わせて現実的に判断したい

といった思いから、静かに墓じまいを選ぶ家庭が増えています。

墓じまいは後ろ向きではなく、「未来のために、いま整理しておく」という前向きな決断でもあります。社会が大きく変化する中で、多くの人が自分たちの暮らしを守るために選んでいる、ごく自然な流れと言えるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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