墓じまいの費用はなぜ分かりにくいのか
墓じまいの費用については、インターネット上で“平均○万円〜”“1㎡あたり○万円”と説明されることがあります。しかし実際には、全国共通の単価が存在するわけではなく、各石材店が独自に料金を設定しているのが実情です。お墓の構造や立地、基礎の深さ、外柵の有無など、個々の状況が大きく異なるため、同じ広さでも必要な作業量に大きな差が生まれるからです。
実際の現場では次のような条件があり、同じ「1㎡」でも作業難易度がまったく違うことがあります。
・基礎コンクリートが極端に厚い
・外柵部分が重厚で人力では動かせない
・墓石のデザインが複雑で、分解に手間がかかる
・墓地が山の上や坂の途中にあり、重機が入らない
・参道が狭く搬出経路に制限がある
また、寺院墓地や霊園には指定石材店制度があり、選べる石材店が限られる場合もあります。そのため、他社との比較が難しく、相場をあてにしにくいケースも少なくありません。ネット上の相場はあくまで参考であり、最終的な費用は現地調査を経て初めて判断される点が、墓じまいの費用が分かりにくいと感じられる大きな理由です。
石材店ごとに費用が変わる理由
墓じまいの費用が石材店によって異なるのは、作業内容や処分費、作業環境に共通基準がほとんどないためです。墓石の大きさや構造、基礎の厚さ、外柵の形状、重機の搬入可否といった現場条件は現地に行かないと分からず、同じ「墓じまい」であっても必要な人員や作業時間に差が生まれます。
また、石材やコンクリートの処分にかかる費用は地域ごとの処分場の料金によって大きく異なります。ある地域では比較的安価でも、別の地域では数倍の費用がかかることもあり、こうした地域差も価格に影響します。さらに、石材店が自社施工なのか下請け業者を使うのか、作業員の規模や設備の違いなど、会社ごとの体制によっても費用は変動します。
結果として、見積もりを比較すると数万円から数十万円の差が出ることは珍しくありません。これは不透明さの原因でもありますが、逆に言えば「現地調査をしなければ正確な見積もりは出せない」という仕組みが正しいともいえるでしょう。
不安を感じやすい場面と、どのように対処すればよいか
墓じまいは多くの方にとって初めて経験する手続きであり、不安が生じやすい場面も少なくありません。たとえば、
・見積もりの内訳が専門的で分かりづらい
・追加費用の可能性をどう判断すべきか分からない
・親族間で意見がまとまらない
・寺院や霊園との関係性に気を遣う
このような場面では、どこから手をつけていいか分からず戸惑うのは自然なことです。
心配な方も多いかと思います。見積もりの内容については、石材店に遠慮なく質問し、納得できるまで説明を受けることが大切です。なぜこの金額になるのか、追加が発生する可能性はどの作業なのかなど、丁寧に確認していくことで不安は確実に軽くなります。
また、信頼できる行政書士がいれば、手続きの流れや寺院との調整、改葬許可申請、見積もりの妥当性チェックなどを任せることもできます。第三者が間に入ることで全体像が整理しやすくなり、「何をどう進めればよいか分からない」という状態から抜け出せる方が多くいます。
納得のいく墓じまいにするために
墓じまいは費用の問題だけではなく、親族間の話し合いや遺骨の扱い、供養の方法など、慎重な判断が求められる側面があります。特に、親族の意見が割れている場合や、寺院の方針が分かりづらい場合、遺骨をどこへ移すか決められない場合などは、すぐに結論を出すのではなく、丁寧に状況を整理することが重要です。
費用についても、石材店ごとの金額差に振り回されるのではなく、「なぜこの費用になるのか」を理解することで納得感が生まれます。専門家や石材店に相談しながら進めることで、作業内容と金額のつながりが明確になり、安心して手続きを進められるようになります。
最終的には、先祖を大切に送り出すという気持ちを軸に、自分たちが納得できる形を選ぶことが何より大切です。疑問点をそのままにせず、一つひとつ解消しながら進めることで、後悔のない墓じまいへとつながっていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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