お寺との付き合いが薄い場合でも手続きは必要
「お寺とはほとんど関わりがないから、自由に墓じまいを進められる」と考える方も多いですが、実際にはそうではありません。墓地の管理者が寺院である場合、普段の付き合いがなくても、正式な手続きが求められます。お墓は土地の所有物ではなく、あくまで「寺院や霊園からの使用権」に基づくものだからです。
たとえ法要や行事に参加していなくても、寺の敷地に墓を持っていれば形式上は「檀家」にあたります。したがって、墓じまいを行う際には、閉眼供養（魂抜き）を行い、遺骨を取り出す前に管理者である寺の承認を得る必要があります。無断で撤去を行うと、宗教的なトラブルや法的な問題に発展することもあるため、慎重な対応が欠かせません。
永代供養や合同墓へ移すときの流れ
お寺との付き合いが薄い方の多くは、墓じまいを機に永代供養や合同墓への移行を希望されます。その場合、基本的な流れは次の通りです。
① 管理者（寺院や霊園）に墓じまいの意向を伝える
② 改葬先（永代供養墓・納骨堂など）を決める
③ 市区町村で改葬許可証を申請・取得する
④ 閉眼供養を行い、遺骨を取り出す
⑤ 石材店に依頼して墓石を撤去・整地する
⑥ 新しい納骨先で開眼供養や納骨式を行う
特に重要なのは、改葬許可申請の際に「現在の墓地管理者の署名・押印」が必要になる点です。つまり、関係が薄くても一度は正式な連絡が不可欠です。無理に避けようとせず、礼儀をもって依頼すれば、ほとんどの場合は円滑に進みます。
寺院との関係が途絶えているときの対処法
中には、寺院が廃寺になっていたり、住職と連絡が取れなかったりするケースもあります。その場合は、次のような手順で確認を行います。
・墓石や区画番号から、管理者（寺・宗教法人・自治会・霊園組合）を特定する
・寺が廃寺の場合は、宗派の本山や教区事務所に照会する
・わからない場合は、市区町村役場の「環境衛生課」「生活環境課」に相談する
もし管理者が完全に存在しない、または確認ができない場合は、「無縁墓」の扱いになります。この場合、行政書士などの専門家に依頼し、公告や法的手続きを経て撤去・改葬を進めることになります。独断で動かすことはできないため、必ず正式な確認を経ることが大切です。
丁寧に終えるためにできること
お寺との関係が薄いと、費用や手続きへの不安が大きくなりがちですが、焦らず順序立てて進めれば問題ありません。閉眼供養は簡略でも必ず行い、石材店・行政書士・寺院などの役割を明確にしておくと安心です。改葬先を早めに決め、書類の不備がないよう準備を整えましょう。
フジ行政書士事務所では、寺院との交渉や書類発行が難しい方のために、改葬許可申請代行・書類整理・寺院対応のサポートを行っています。「どこに連絡すればいいのかわからない」「お寺と気まずくて話しにくい」といった方でも、円滑に手続きを進めることが可能です。
お寺との関係が薄くても、丁寧に終えれば必ず気持ちは届きます。墓じまいとは、先祖を切り離すことではなく、次の形で大切に受け継ぐための一歩です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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