四十九日や一周忌が近づき、いよいよ納骨をしようとしたとき。
「あの紙、どこにやっただろう」と手が止まってしまう方は、決して少なくありません。
結論からお伝えします。
火葬許可証が見つからなくても、納骨を諦める必要はありません。死亡届を提出した市区町村で、再発行を受けられる場合があります。何年も前の火葬でも、年数だけを理由に一律に断られるわけではありません。
ただし、その前に一つだけ。まず骨壺が入っている箱の中を確認してください。紛失したと思っていた許可証が、そこに入っていたというケースが実際にあります。
この記事では、「納骨しようとしたら書類がない」という状態から、何を確認し、どこへ連絡し、どう進めればよいのかを順番に整理します。古いお骨の場合、遠方の場合、そして墓じまい・改葬の場合まで含めて説明します。
まず最初に確認してほしい5つの場所
火葬が終わると、火葬済の印が押された許可証が遺族に返されます。このとき、骨壺と一緒に箱へ納められていることがよくあります。葬儀社が箱の中に入れて渡す場合や、火葬場でそのまま入れる場合があるためです。
納骨まで年単位で間があくと、そのことを忘れてしまいます。「なくした」と判断する前に、次の5か所を見てください。
それでも見つからなければ、次に進みます。ここからが本題です。
そもそも、何という書類をなくしたのか
この手続きで最初につまずくのが、書類の名前です。ご自身では「埋葬許可証をなくした」と思っていても、役所では「火葬許可証の再発行」と案内されることがあります。
火葬許可証と埋葬許可証は、多くの場合「同じ一枚の紙」です
死亡届を提出すると、市区町村から火葬許可証が交付されます。これを火葬場に提出し、火葬が終わると火葬を執行した旨の証印が押されて返却されます。この証印が押された同じ紙が、納骨のときに墓地や納骨堂へ提出する書類になります。
これを「埋葬許可証」と呼ぶ習慣があるため、二種類の書類があるように思われがちですが、実際には一枚の紙の前後の状態を指しているにすぎません。自治体によって「埋火葬許可証」「火葬(埋葬)許可証」など表記も異なります。
書類名で迷ったら、次のように伝えれば通じます。
「〇年に亡くなった父の遺骨をこれから納骨するのですが、そのときに必要な許可証が見つかりません。再発行はできますか。」
名称を言い当てる必要はありません。「いつ亡くなった、誰の、納骨に使う書類か」が伝われば、担当者が該当する手続きを案内してくれます。
似ているけれど別物の書類
ここを取り違えると、問い合わせ先も手続きもまったく変わってしまいます。
| 書類 | どんな場面で使うか | どこが出すか |
|---|---|---|
| 火葬許可証 (埋葬許可証) | 火葬するとき/火葬後の遺骨を墓地・納骨堂へ納めるとき | 死亡届を提出した市区町村 |
| 改葬許可証 | すでに墓地等に納めてある遺骨を、別の墓地等へ移すとき | 現在お墓がある市区町村 |
| 火葬証明書 | 火葬した事実を証明するとき(古い場合に求められることがある) | 火葬を行った火葬場 |
| 墓地使用許可証 | その区画を使用する権利を示すとき(納骨時に提示を求められることも) | 墓地の管理者・霊園 |
ご自宅で保管している遺骨をこれから納骨するなら火葬許可証。すでにお墓に納めてある遺骨を移すなら改葬許可証です。ここが分岐点だと覚えておいてください。
まずは保管場所を確認し、それから発行元の役所へ問い合わせます
再発行はどこの役所へ? 現在お住まいの市役所とは限りません
ここが、この手続きで最も間違えられる点です。
今お住まいの市役所ではありません。大阪市北区も、火葬許可証の再発行は死亡届を提出した役所でしか発行できないと明記しています。窓口へ行っても、そこが提出先でなければ受け付けてもらえません。
混同しやすい4つの「場所」
死亡に関係する市区町村は複数あります。まずこれを整理してください。
死亡届はこのうちいずれかに提出されているのが通常です。病院で亡くなり、葬儀社が届出を代行した場合は、病院所在地の市区町村に提出されていることが多くあります。ご自宅の市役所だと思い込んでいたら違った、というのは珍しくありません。
死亡届をどこに出したか分からない場合
20年前、30年前のことであれば、覚えていないほうが自然です。この場合、手がかりになるのが故人の戸籍です。
戸籍(除籍謄本・戸籍全部事項証明書)には死亡に関する事項が記載されており、そこから届出に関係した情報を読み取れる場合があります。大阪市も、死亡届を提出した役所を調べたい場合は、亡くなった方の戸籍謄本の「死亡事項」で確認するよう案内しています。
ただし、戸籍を見れば必ず提出先の役所が特定できる、というわけではありません。記載の様式は時代によって異なり、読み取れる情報にも幅があります。判然としない場合は、可能性のある市区町村へ順に照会していくことになります。
・葬儀社の請求書や領収書(届出を代行した場合、社名から当時の葬儀の場所が分かる)
・会葬礼状、葬儀の記録
・死亡診断書のコピー(病院名が分かる)
・火葬場の領収書や案内
・当時の喪主だった方の記憶
何年前でも再発行できますか
結論として、年数だけを理由に一律に再発行できなくなるわけではありません。10年前でも20年前でも、まずは問い合わせる価値があります。
5年を境に、必要な書類が変わることがあります
実務上の区切りとしてよく登場するのが「5年」です。ただしこれは「5年を過ぎたら再発行できない」という意味ではありません。
たとえば大阪市では、死亡した日から5年以上経過している場合、再発行の申請にあたって別途「火葬証明書」が必要になると案内されています。この火葬証明書は、遺体を火葬した火葬場で取得するものです。
つまり5年という区切りは、手続きができなくなる線ではなく、必要な書類が一枚増える線だと理解しておくのが実態に近いところです。
1 死亡届を提出したと思われる市区町村へ電話し、再発行の可否と必要書類を確認する
2 火葬証明書が必要と言われたら、火葬を行った火葬場へ連絡する
3 火葬場が分からない場合は、その旨も含めて役所に相談する
4 火葬証明書を取得し、改めて役所へ再発行を申請する
なお、記録の保存状況や取り扱いは自治体・火葬場によって異なります。年数が経っているほど確認に時間がかかるため、納骨の予定が決まっているなら早めに動いてください。
誰が申請できて、何を持っていけばよいか
申請できる人
ここも自治体ごとに定めがありますが、大阪市は次のような順序を示しています。
まずこの方が申請できます。
届出人が申請できない場合、祖父母・父母・子・孫が申請できます。
直系親族も申請できない場合、先祖代々のお墓や霊園を管理している方が申請できます。承継者であることを示すものの提示を求められることがあります。
また、代行業者や石材店が手続きを代行する場合は、正当な申請者からの委任状が必要とされています。行政書士に依頼する場合も同様に委任状を作成します。
重要なのは、「届出人が亡くなっているから無理だ」と諦めないことです。届出人が申請できない場合の受け皿が用意されている自治体があります。
必要になることが多いもの
・申請者の本人確認書類(運転免許証など)
・故人との続柄や死亡日が分かる書類(戸籍謄本など)
・代理人が申請する場合は委任状
・郵送の場合は返信用封筒(住所・氏名を記載し切手を貼付)
・手数料(無料の自治体もあります)
これらは全国共通ではありません。様式も、必要な戸籍の範囲も、手数料の有無も自治体によって異なります。必ず申請先の公式情報を確認するか、電話で聞いてください。
遠方の場合は郵送できることがあります
実家が遠方で、平日に何度も行けないという方は多いはずです。来庁できない場合の郵送申請を認めている自治体があります。大阪市北区も、必要書類に返信用封筒を同封して区役所へ送付する方法を案内しています。
ただし、郵送対応の可否・宛先・同封するもの・返送までの日数は自治体ごとに違います。送る前に一度電話で確認しておくと、書類不備による往復を避けられます。
納骨の日が迫っている場合の動き方
法要の日取りが決まっていて時間がない、という状況が最も切迫します。この場合は、順番を守るより二つの連絡を同時に進めてください。
許可証が見つからないことを正直に伝え、①納骨に何の書類が必要か ②いつまでに提出すればよいか ③再発行手続き中でも納骨日を進められるか を確認します。書類が間に合わなくても、納骨日を動かさずに済む場合があります。
同時並行で、死亡届を提出したと思われる市区町村へ電話します。交付までの日数を聞いておけば、納骨日に間に合うかどうかを判断できます。
納骨先へ先に相談しておくことには、もう一つ意味があります。寺院や霊園は同じ相談を何度も受けています。「よくあることです」と言われて、拍子抜けする方もいらっしゃいます。黙って当日を迎えるのが、いちばん避けたい進め方です。
手続き全体の流れ
再発行の前に、まず探す。ここで見つかれば手続きは不要です。
何を提出すればよいか、期限はいつかをはっきりさせます。
分からなければ戸籍や葬儀関係の記録から当たりをつけます。
この段階で電話をしておくと、以降が早く進みます。
5年以上前の場合は、先に火葬場で火葬証明書を取得することがあります。
再発行された許可証を納骨先へ提出します。
お墓から遺骨を取り出す場合は、まったく別の手続きです
ここは特に混同されやすいところです。
これまで説明してきたのは、まだどこにも納骨していない遺骨をこれから納める場面の話です。ご自宅で保管していた遺骨や、火葬後そのままになっていた遺骨が該当します。
一方、すでにお墓や納骨堂に納めてある遺骨を取り出して、別の場所へ移す場合は、墓地、埋葬等に関する法律上の「改葬」にあたります。この場合に必要なのは火葬許可証ではなく、現在お墓がある市区町村が交付する改葬許可証です。
遺骨が今どこにあるかによって、必要な手続きが変わります
| 遺骨の現在地 | これからすること | 必要な手続き |
|---|---|---|
| 自宅・手元にある | 墓地や納骨堂へ納める | 火葬許可証(紛失時は再発行) |
| お墓・納骨堂にある | 別の墓地等へ移す | 改葬許可申請と改葬許可証 |
| お墓にある | 墓じまいをして永代供養や樹木葬へ | 改葬許可申請と埋蔵証明 |
墓じまいの場面で「火葬許可証がないと墓じまいできないのでは」と心配される方がいらっしゃいますが、既に墓地に納められている遺骨を移すのに、当時の火葬許可証が必要になることは通常ありません。求められるのは、墓地管理者が作成する埋蔵証明と改葬許可申請です。
よくあるご質問
Q.火葬許可証のコピーでは納骨できませんか
原則として原本の提出が求められます。コピーでは受け付けられないのが通常です。手元にコピーしかない場合も、そのコピーは有力な資料になります。故人の氏名・死亡日・火葬場・発行した役所名が読み取れるため、再発行の問い合わせが格段に早く進みます。捨てずに持参してください。
Q.葬儀社が代行して届出をしました。葬儀社に聞けば分かりますか
当時の記録が残っていれば、提出先の役所や火葬場を教えてもらえることがあります。ただし保存期間の関係で、古い案件は記録が残っていない場合もあります。まず問い合わせてみる価値はあります。
Q.分骨したいのですが、火葬許可証がありません
分骨の場面で必要になるのは、火葬許可証ではなく分骨証明書です。すでに納骨してある遺骨を分けるなら墓地の管理者が、火葬時に分けるなら火葬場が証明書を交付します。手元にある遺骨を分けて別々の場所に納める場合は、どの証明が必要になるか納骨先に確認してください。
Q.散骨や手元供養なら、許可証は不要ですか
散骨や自宅での保管では、許可証の提出を求められる場面がありません。ただし、将来お墓や納骨堂に納める可能性があるなら、書類は必ず保管しておいてください。年数が経つほど再発行の手間は増えます。
Q.火葬場が閉鎖されている場合、火葬証明書は取れますか
統廃合により火葬場がなくなっていることがあります。この場合、業務を引き継いだ施設や、その火葬場を運営していた市区町村・一部事務組合に記録が残っている可能性があります。役所に事情を伝えて相談してください。
Q.遺骨が複数あり、書類がある人とない人が混在しています
遺骨ごとに状況が違うため、一体ずつ整理する必要があります。誰の遺骨がどこで火葬され、どの書類が残っているのかを一覧にすると、不足している手続きがはっきりします。
Q.再発行にはどのくらい時間がかかりますか
窓口でその日のうちに交付される自治体もあれば、確認に日数を要する場合もあります。郵送申請なら往復の日数が加わります。古い案件ほど時間がかかる傾向があるため、納骨日から逆算して余裕を持って動いてください。
ご自身で進められるケースと、相談したほうがよいケース
正直に申し上げると、死亡届を出した役所がはっきりしていて、申請できる方がご存命であれば、ご自身で十分に手続きできます。役所へ電話し、様式をダウンロードし、戸籍と本人確認書類を用意すれば完了します。手数料が無料の自治体もあります。
ご相談をいただくことが多いのは、次のような場面です。
特に、戸籍をさかのぼって当時の情報を確認する作業は、慣れていないと時間がかかります。行政書士は職務上、戸籍等の請求や役所への確認を業務として行っています。「調べ方が分からない」という段階からご相談いただけます。
LINEでご相談いただく場合は、分かる範囲で次の4点をお知らせください。
① 亡くなった方のお名前
② 亡くなったおおよその時期(西暦・年だけでも構いません)
③ 火葬した場所や、死亡届を出した自治体について分かっていること
④ これから納骨する予定の場所
すべて分からなくても構いません。「30年ほど前に祖父が亡くなった。場所は分からない」という状態からで大丈夫です。分かっている情報から、どこへ問い合わせればよいかを一緒に整理します。
初回のご相談は1時間まで無料です。調査や申請の代行をご依頼いただく場合の費用は、ご利用料金のページに記載しています。
※この記事は、墓地、埋葬等に関する法律および同法施行規則、厚生労働省の公表資料、大阪市をはじめとする市区町村の公開情報をもとに作成しています。再発行の可否・申請できる方・必要書類・手数料・郵送対応は自治体によって異なります。実際の手続きの際は、死亡届を提出した市区町村の窓口でご確認ください。
